「補助金があるなら、資金面は安心だろう」
そう考えて補助金申請を進めてしまうのは、実はとても危険です。

補助金は、事業を実施した後に支払われる「後払い」が原則です。
そのため、自己資金や立替資金の準備が不十分なまま進めると、補助金が採択されていても資金繰りが行き詰まるケースが少なくありません。

本記事では、補助金申請を検討する際に必ず確認しておきたい「資金繰りの落とし穴」と、事前に取るべき対策について解説します。

補助金は「資金繰りを楽にする制度」ではない

まず最初に押さえておきたいのは、補助金は資金繰り改善策ではないという点です。

多くの補助金は、

  1. 設備投資や事業実施
  2. 代金の支払い(全額自己負担)
  3. 実績報告の提出
  4. 審査後に補助金が入金

という流れになっています。

つまり、補助金が入金されるまでの間は、すべて自社で立て替える必要があるということです。

よくある資金繰りの落とし穴①:補助金は「後払い」であることを軽視している

補助金に関する相談で非常に多いのが、

  • 採択されたらすぐにお金が入ると思っていた
  • 設備代金の支払い時期を深く考えていなかった

というケースです。

実際には、設備の納入から補助金入金まで、数か月以上かかることも珍しくありません
この期間を乗り切る資金が確保できていないと、黒字企業であっても資金ショートするリスクがあります。

よくある資金繰りの落とし穴②:自己資金と運転資金を混同している

補助金申請時に「自己資金はあります」とおっしゃる企業でも、詳しく確認すると、

  • 運転資金として最低限必要なお金まで投資に回そうとしている
  • 仕入・人件費・家賃などの支払い余力を考慮していない

といったケースが少なくありません。

補助金対象経費に充てる資金と、日々の事業を回すための運転資金は明確に分けて考える必要があります

よくある資金繰りの落とし穴③:補助事業が想定どおり進まない

計画段階では問題なく見えても、実際の現場では、

  • 納期の遅れ
  • 工事期間の延長
  • 想定外の追加費用

などが発生することがあります。

補助金は原則として計画どおりに実施することが前提です。
スケジュールや支払いがずれ込むと、資金繰りだけでなく、補助金の交付自体に影響する可能性もあります。

よくある資金繰りの落とし穴④:金融機関との事前相談ができていない

補助金を活用する事業では、自己資金だけでなく、

  • 融資
  • つなぎ資金

を組み合わせるケースも多くあります。

しかし、

  • 採択後に慌てて金融機関へ相談する
  • 補助金ありきで話を進めてしまう

と、希望どおりの資金調達ができないこともあります。

補助金申請前の段階で、金融機関や専門家と資金繰り全体を整理しておくことが重要です

補助金を安全に活用するために、申請前に確認すべきポイント

補助金を「資金繰りリスク」にしないために、申請前に以下の点を確認しておくことをおすすめします。

  • 補助金入金までの資金繰りを時系列で整理しているか
  • 自己資金・運転資金・投資資金を分けて考えているか
  • 想定外の支出に耐えられる余力があるか
  • 金融機関や専門家と事前に相談できているか

これらを整理したうえで申請することで、補助金を「経営を前進させる手段」として活用しやすくなります。

まとめ:補助金は「資金繰りを見た上で」使うもの

補助金は、うまく使えば事業成長の大きな後押しになります。
一方で、資金繰りを軽視したまま進めると、採択されたこと自体が経営リスクになることもあります。

「補助金を使うべきかどうか」ではなく、「自社の資金繰りで無理なく使えるかどうか」という視点で、申請前に一度立ち止まって考えることが重要です。