2025年2月27日より、大規模成長投資補助金の3次公募が概要が公表されました。
昨年新設された補助金で、補助上限50億円と非常に補助金額が高いことが特徴の補助金で、その金額が示す通り、工場の新設や、省力化設備を活用した製造拠点の生産性向上など、まさしく大規模成長につながる思い切った投資を支援する補助金です。
本記事では、対象となる中堅・中小企業がスムーズな申請に繋げられるようにするために、大規模成長投資補助金の制度についてわかりやすく説明いたします。
目次
大規模成長投資補助金3次公募の概要
大規模成長投資補助金は、中堅・中小企業が、持続的な賃上げを目的として、省力化等による労働生産性の抜本的な向上と、事業規模の拡大を図るために行う工場等の拠点新設や大規模な設備投資に対して補助を行う補助金です。
中小企業に加えて、従業員2000人以下の中堅企業も補助対象となります。
「抜本的な向上」や「事業規模の拡大」といった言葉が並ぶように、既存事業の延長線上にある取組よりも、もっと大きな大胆な変化を起こしたい企業に向けた補助金であり、高額な補助金を支給する代わりにといってはなんですが、中小企業庁が行うその他の補助金よりも思い切った賃上げも求められます。
大規模成長投資補助金の活用イメージ
国からは、具体的な活用イメージとして3つ挙げられています。
工場や倉庫、販売拠点などの 新設や増築 | 最先端の機械や 省力化できる設備の購入 | ソフトウェアの 購入や情報システムの構築 |
2024年の説明会では、工場・倉庫・販売拠点に限らず、地域経済や従業員の賃上げにつながる事業であれば、これら以外の建物も補助対象になり得るとしています。
大規模成長投資補助金3次の事業要件
補助金に申請するための具体的な事業要件は下記のとおりです。
要件 | 概要 |
---|---|
①投資額10億円以上 | 専門家経費・外注費を除く補助対象経費額が10億円以上であること |
②賃上げ要件 | 補助事業の終了後3年間において、対象事業に関わる従業員等1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が、全国の過去4年間の最低賃金の年平均上昇率(4.5%)以上となること |
要件①については、申請時に計画に変更が発生した場合や、申告した経費に補助対象外となる項目が混じっており、最終的に事務局が算定した補助対象経費額が10億円以下となった場合は、せっかく採択を受けても補助金を受けることはできません。ぎりぎり10億円を超えるかも、という場合には注意が必要です。
要件②については、天災等やむを得ない理由がない限り、未達成となった場合はその割合に応じて補助金を返還する必要があります。
従業員Aの補助事業終了時点での給与支給総額が400万円であった場合、毎年4.5%の賃上げを行うとすると、3年後の給与支給総額は単純計算で4,564,664円となります。
大規模成長投資補助金3次の補助金額・補助率
大規模成長投資補助金3次の補助金額・補助率は、下記のとおりです。
補助上限額 | 補助率 |
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50億円 | 1/3 |
上限額は高いものの、補助率は1/3ですので、中小企業の場合、予定している投資金額によっては、大規模成長投資補助金よりも別途予定されている中小企業成長加速化補助金(補助上限5億円、補助率1/2)の方が適当であるという場合もあるかと思います。
大規模成長投資補助金3次の補助対象経費
大規模成長投資補助金で補助対象となるのは、下記のとおりです。
項目 | 概要 |
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建物費 | 専ら補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設、増築、改修、中古建物の取得に要する経費 |
機械装置費 | ①専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、借用に要する経費 ②①と合わせて行う改良・修繕・据付け・運搬費 |
ソフトウェア費 | ① 専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用、クラウドサービス利用に要する経費 ②①と合わせて行う改良・修繕 |
外注費 | 補助事業遂行のために必要な加工や設計、検査等の一部を外注(請負・委託)する場合の経費 |
専門家経費 | 補助事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費 |
建物費・機械装置費・ソフトウェア費の合計で10億円を超える投資である必要があります。
なお建物費のうち一般管理費と現場管理費は補助対象となるなど、必ずしも見積の内容の全額が補助対象となるわけではありません。
大規模成長投資補助金3次のスケジュール
現時点で予定されているスケジュールは下記のとおりです。
補助金の支払い対象となるのは、申請後に審査員による審査を受けて、採択(合格)を受けた企業が、その後事務局に対して見積書等を提出して許可を得た(交付決定を受けた)後の発注分が対象となります。

大規模成長投資補助金3次の申請に必要な書類等
補助金の申請に必要な書類の詳細は、現時点では公開されていません。(公募要領公開後、この記事を修正する形で追記いたします)
ご参考まで、前回の申請時の提出書類は下記のとおりです。
提出書類名 | 概要 |
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成長投資計画書(様式1) | パワーポイントの様式を活用し35枚以内で作成 |
成長投資計画書別紙(様式2) | Excelで数値計画を作成 |
ローカルベンチマーク(様式3) | ローカルベンチマークの財務分析結果を提出 |
直近3期分の決算書 | |
金融機関による確認書(様式4) | 確認を受けた場合に限る 確認を受けたうえで、金融機関の担当者がプレゼン審査に同席する場合は加点付与 |
リース取引に係る誓約書(様式5) | リース会社と共同申請する場合に限る |
リース料軽減計算書(様式6) | 同上 |
過去の大規模成長投資補助金採択者の傾向
事務局からは、参考情報として、過去の1次と2次の申請情報について公開されています。
2024年は、賃上げ要件は一律4.5%ではなく、実施場所の都道府県の最低賃金上昇率(都道府県によるがおおむね3%程度)を超える賃上げ率が目標値でした。それでも採択者の目標賃上げ率の中央値は1次4.3%、2次5.4%と、大きく上回る賃上げ率を掲げています。
今回も4.5%を超える賃上げ率を目標値として掲げるところが多くなることが予想されます。

単純にこの数字以上の目標値をかかげることで採択される(されやすくなる)とは言えませんが、応募倍率が高い中、競合となる企業よりも低い目標値で高い評価を得ることは難しいでしょう。
さいごに
高額な補助上限額は魅力ではあるものの、スケジュールが限られる中でゼロから計画を立てて採択を目指そうというよりは、もともと大規模な投資を検討されていた企業が、この補助金をきっかけに先に進む決断をするというタイプの補助金かと思います。
通常の補助金は、採択企業については企業名と事業テーマ名が公開される程度ですが、この補助金は事業計画の概要や目標値も一般に公開されるというのも大きな特徴です。
この補助金をきっかけに自社の大胆なチャレンジをステークホルダーにも知っていただきたいという企業は、申請を検討されてみてもよろしいかと思います。