「補助金の加点対象にもなる公的施策のご紹介」という記事でもご紹介していますが、各種補助金の加点項目のひとつとして『パートナーシップ構築宣言のポータルサイトで宣言を公表していること』が対象となる場合があります。
「宣言を公表」と書かれていると仰々しい感じもあり「うちはそんなことやってないし無関係だ」と読み飛ばしてしまっている事業者様も多いかと思いますが、実はそんなことはありません。パートナーシップ構築宣言は、どの企業でも気軽に取り組むことができるものであり、また、その方法も非常にお手軽です。
『補助金の加点』をきっかけとしていただくのでも良いですし、補助金を抜きにしても、下記記事を参考に、ぜひ自社の名前での宣言公表を検討いただければと思います。
目次
パートナーシップ構築宣言とは?
パートナーシップ構築宣言とは、企業規模に関わらず「わが社は発注者として、取引先と適正な取引を行う」ということを国のポータルサイト上で宣言するというものです。
『うちは「受注者」側なので当てはまらないのでは』と思う事業者様もいらっしゃるかもしれません。しかし、事業を行う中では、仕入れを行ったり物品を購入したりと、自社も「発注者」となる場面が存在しているのではないでしょうか。
本取り組みでは、事業規模の大小やサプライチェーンの川上川下は関係なく、企業間取引を行う企業が1社でも多く「パートナーシップ構築宣言」を行うことで、サプライチェーン全体で取引の適正化を進めていくことを目的としています。
身もふたもない言い方をすると、『下請けいじめ』という言葉も問題視される中、同調圧力によって不適切な取引を減少させていこうという取組ですね。
ポータルサイト上では、宣言を公表している企業の情報を検索及び宣言内容の閲覧をすることができます。
検索方法は「業種別」「地域別」「企業名」の3種類で、中小企業だけではなく大企業の多くが宣言を公表していることが確認できます。
パートナーシップ構築宣言を公表するメリット
自社の取組を国のホームページ上で周知することができる
パートナーシップ構築宣言を公表した企業名は、ポータルサイト上で公表されます。「認定」制度ではないため「国のお墨付き」とまでは言えませんが、自社が国が推進する取り組みに協力している企業であるということを、対外的に周知することができます。
パートナーシップ構築宣言のロゴを利用できる
宣言を公表した企業は、ロゴをダウンロードし、印刷物やWEB上で使用することができます。
ホームページや名刺等に使用することで、自社は取引先と適正な取引を行うホワイト企業であることをアピールすることができます。
「意味があるの?」と思われるかもしれませんが、制度を知っている企業であれば安心感を与えることができますし、制度を知らない企業であればロゴをきっかけに話題にすることもできます。
補助金の加点を取ることができる
特に人気の高い補助金では、加点の有無は採択に大きな影響を与えます。
2024年では、下記補助金がパートナーシップ構築宣言を加点要素としています。
賃上げ促進税制の適用要件
企業が賃上げを実施した場合に、賃上げ額の一部を法人税などから税額控除できる制度である「賃上げ促進税制」において、パートナーシップ構築宣言の公表をしていることが要件のひとつとなっています。
日本政策金融公庫の融資(企業活力強化資金)の要件
合理化等のための設備投資を行う際に利用できる「企業活力強化資金(企業活力強化貸付)」において、パートナーシップ構築宣言の公表をしていることが要件のひとつとなっています。
その他各自治体別の優遇措置
上記以外にも、各自治体でパートナーシップ構築宣言公表済企業について、さまざまな優遇措置を行っています。
たとえば三重県では県の融資制度「働き方改革支援資金」において、パートナーシップ構築宣言公表企業を制度の対象としています。
パートナーシップ構築宣言の公表方法
パートナーシップ構築宣言の手続きは簡単です。ポータルサイト上でひな形をダウンロードできるため、自社の実態に応じて修正し、公開するだけです。
既に公開済みの同業他社の公表内容も参考にできますし、公表後の修正も可能です。
Step1 | ポータルサイトからひな形をダウンロード |
Step2 | 自社の実態に応じて修正 |
Step3 | 代表者による確認・サイン |
Step4 | 宣言書をPDFに変換 |
Step5 | ポータルサイトのフォームから申請 |
Step6 | 数日~1週間程度で公表 |
公表は「代表」の名前で行うことになります。途中の作業は従業員が行うのであっても、必ず代表が最終確認したうえで公開手続きを進めましょう。
また、ひな形は、随時更新されていますので、修正する場合などは過去の様式を修正するのではなく、必ず最新版をダウンロードして修正を行ってください。
ひな形には、「定型部分」と「個別記載部分」があります。
定型部分は全社共通部分のため、変えてはいけません。
一方個別記載部分は、自社の取組に応じて自由に変更可能です。例えば上図においては、a~eのうち、自社で取り組む見出しだけ残し、不要な部分は削除の上、それぞれ具体的な内容を追記いただくことがおすすめです。
基本的に「この内容がおかしいから差戻し」といったことはありませんので、自社にとってわかりやすい言葉で書けば問題ありません。
個別記載部分カスタマイズ例
a. 企業間の連携(オープンイノベーション、M&A等の事業承継支援 等)
協力会社と連携して新技術の開発に取り組む
d. グリーン化の取組(脱・低炭素化技術の共同開発、省エネ診断に係る助言・支援、生産工程等の脱・低炭素化、グリーン調達 等)
環境負荷の少ない製品を優先して調達を行う
おわりに
千里の道も一歩から。遠回りかもしれませんが、多くの企業がこのような取り組みに参加することで、少しずつ世の中が変わっていくのかもしれません。
自社のブランド力向上にも役立つ制度ですので、ぜひ機会があれば宣言の公表に取り組んでみていただければと思います。