小規模事業者持続化補助金一般型通常枠の第17回公募要領が公開されました(締切:2025年6月13日)

2025年3月4日に、小規模事業者持続化補助金一般型通常枠の第17回公募要領(暫定版)が公開されした。
小規模事業者持続化補助金は、従業員20人以下(宿泊業・娯楽業除く商業・サービス業については5人以下)の小規模事業者(個人事業主含む)が、持続的に発展を続けられるよう販路開拓等の取組について補助を受けることが出来る補助金です。
商工会・商工会議所が登場しますが、商工会・商工会議所の会員でない事業者も利用することは可能です。
本記事では、対象となる小規模事業者や個人事業主がスムーズな申請に繋げられるようにするために、小規模事業者持続化補助金の制度についてわかりやすく説明いたします。

小規模事業者持続化補助金の一般型通常枠第17回の目的

小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更等に対応するために取り組む販路開拓等の取組の経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とします。本補助金事業は、自ら策定した持続的な経営に向けた経営計画に基づく販路開拓等の取組や、その取組と併せて行う業務効率化(生産性向上)の取組を支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです。
(「小規模事業者持続化補助金17回公募要領」より)

小規模事業者持続化補助金は、全国に数多く存在し、地域の経済を支える小規模事業者が、生産性向上と持続的発展のための販路開拓等を支援する補助金です。
大きな特徴は、作成した計画書をそのまま事務局に提出するのではなく、一度地域の小規模事業者を支援する商工会・商工会議所の確認を受ける必要があるという点です。
特に商工会・商工会議所の会員でなくとも確認を受けることは可能ですが、この工程が入るため、申請を検討する場合は十分に余裕をもって計画書の作成を進める必要があります。

小規模事業者持続化補助金の活用イメージ

国からは、具体的な活用イメージとして下記が挙げられています。

一般型通常枠一般型災害支援枠創業型
・観光ぶどう園を有する喫茶店においてフリーズドライ製品を販売するため、洗練されたパッケージデザインやリーフレットを作成。高級スーパー等の新たな販路への商談に活用。
・精密板金加工・プレス金型等の製作所が、県道沿いに看板を設置。具体的な製品を載せたことで、新規取引先の獲得に向けて高度な技術や専門性を効果的にPR。
・被災により破損したカウンターショーケースを買換えるとともに、雨漏りで剥がれたクロスの張り替えや、新しいデザインの看板を設置することにより、営業再開と同時に集客の回復をはかった。
・主な取引先であった旅館の被災により販路が喪失。新たな取引先を獲得するため展示会へ出展。
加えて、新商品の開発を行い、チラシを用いて宣伝することで、販路の開拓につながり減少した売上が回復。
・金属加工業を開業。ロボット溶接機械を導入することで、技術革新による事業の拡大及び生産性の向上を図る。
・食品小売業を開業後1年経過。厨房設備の導入及び店舗リニューアルを行うことで、新規顧客獲得による売上拡大を図る。

販路開拓のための取組ということで、外注費や広告宣伝費、機械装置費など、様々なものが補助対象となり、非常に使い勝手の良い補助金です。
販路開拓や生産性向上が全く関係ないという事業者様はいらっしゃらないかと思いますので、従業員要件を満たす場合はぜひ検討いただければと思います。

小規模事業者持続化補助金の申請枠

小規模事業者持続化補助金では3つ申請枠があり、要件を満たすのであれば基本的には通常枠ではなく特別枠での申請が有利です。

  • 一般型通常枠
  • 一般型災害支援枠
  • 創業型

一般型通常枠

持続的な経営に向けた経営計画に基づく販路開拓等の取組について補助を受けることができます。

自社が今後長年に渡って事業を続けるためには、自社の状況に合わせた新商品の開発や新規取引先の開拓、顧客への認知度向上や快適にサービスを利用いただくための改善など、行うべき取組はさまざまです。
事業計画をきちんとたて、その実現のために必要な経費について幅広く補助を受けることができます。

一般型災害支援枠

令和6年能登半島地震・令和6年奥能登豪雨により被害を受けた小規模事業者等が行う事業再建のための取組について補助を受けることができます。

直接的に被害を受けた企業に加えて、災害が要因で売上が減少したなど、間接被害を受けた事業者も補助対象となります。

補助上限額が通常枠より高いことに加えて、車両購入費、設備処分費、施設・設備の修繕費など再建のために補助対象がより幅広くなっています。

創業型

特定創業支援等事業による支援を受けた創業後3年以内の小規模事業者等が行う販路開拓等の取組について補助を受けることができます。

創業3年以内の小規模事業者であればだれでも申請できるわけではなく、特定創業支援等事業による支援(商工会議所の創業塾など)を受けた事業者が利用することができます。

補助上限額が通常枠より高く設定されています。

本記事では、幅広い事業者が利用できる一般型通常枠について以下ご説明いたします。

小規模事業者持続化補助金一般型通常枠第17回の申請要件

補助金に申請するための要件です。

1.小規模事業者であること

補助金の名のとおり、雇用する従業員数により小規模かどうかの判断が行われます。
代表者・役員・専従者は従業員数に含まれません。
「常時使用する」については正社員・パート・アルバイトの区別はなく、常態的に雇用されている従業員を指します。(臨時で一時的に雇用したアルバイトなどは含みません)

業種従業員数
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)常時使用する従業員の数が5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業常時使用する従業員の数が20人以下
製造業その他常時使用する従業員の数が20人以下

法人・個人は問いませんが、事業をすでに営んでいる事業者が対象となり、開業前の個人や、開業届を出していても申請時点において実際には事業を営んでいないという場合については補助対象外となります。

2.資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%の株式を保有されていないこと
(法人のみ)

大企業の子会社であればそれはもう小規模事業者ではないという考えです。

3.確定している(申告済みの)直近過去3年分の「各年」又は「各事業年度」の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと

小規模事業者に当てはまっても、利益が非常に高い事業者については補助を受ける必要がないということで、補助対象外となります。

小規模事業者持続化補助金一般型通常枠第17回の補助金額・補助率

小規模事業者持続化補助金一般型通常枠第17回の補助金額・補助率は、下記のとおりです。

補助率2/3
(賃金引上げ特例を用い、かつ赤字事業者の場合は3/4)
通常の補助上限50万円
インボイス特例+50万円
賃金引上げ特例+150万円

特に特例を使わない場合は、補助上限額は50万円となります。補助率は2/3ですので、75万円以上の支払いが発生する取り組みを行った場合、満額の50万円を受け取ることが出来ます。

インボイス特例

免税事業者が適格請求書発行事業者へ転換している(した)場合に、補助金の上乗せが可能です。インボイス特例を申請し、要件を満たしていなかった場合、通常の50万円分も含めすべて補助対象外となります。

要件以下のいずれかを満たす事業者
・2021年9月30日~2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者であった
・2023 年10月18日以降に創業した事業者のうち、適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者
必要な手続き(登録済の場合)適格請求書発行事業者の登録通知書の写しか、(申請中の場合)登録申請データの「受信通知」画面の写しを提出

賃金引上げ特例

補助事業実施期間に事業場内最低賃金を+50 円以上とした場合に、補助金の上乗せが可能です。
申請した場合、自動的に審査時に加点が行われます。
赤字事業者の場合は、補助率が3/4に引きあがると共に、さらに優先採択を受けることもできます。

従業員への賃上げが必須となるため、従業員がいない(代表のみ、代表と専従者のみなど)場合は利用できません。

賃金引上げ特例を申請し、要件を満たしていなかった場合、通常の50万円分も含めすべて補助対象外となります。

要件補助事業の終了時点において、事業場内最低賃金が申請時の事業内最低賃金より+50 円以上であること。
必要な手続き申請時に全従業員分について下記書類を提出
・労働基準法に基づく、直近1か月分の賃金台帳の写し
・ 雇用条件(1日の所定労働時間、年間休日)が記載された書類の写し(例)雇用契約書、労働条件通知書、就業規則等

小規模事業者持続化補助金一般型通常枠第17回の補助対象経費

小規模事業者持続化補助金一般型通常枠で補助対象となるのは、下記のとおりです。

  • 機械装置等費
  • 広報費
  • ウェブサイト関連費
  • 展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)
  • 旅費
  • 新商品開発費
  • 借料
  • 委託・外注費

となります。
公募要領に各項目で具体的に補助対象になる経費・補助対象外となる経費について例示されていますので、ぜひご確認ください。

小規模事業者持続化補助金一般型通常枠第17回のスケジュール

補助金の支払い対象となるのは、申請後に審査員による審査を受けて、採択(合格)を受けた企業が、その後事務局に対して見積書等を提出して許可を得た(交付決定を受けた)後の発注分が対象となります。

小規模事業者持続化補助金一般型通常枠17回スケジュール

交付決定を受ける前に発注してしまったものは全て対象外となってしまいますので、特にご注意ください。

小規模事業者持続化補助金一般型通常枠第17回の申請に必要な書類等

補助金の申請にあたって準備するものについては、下記のようなものがあります。(法人・個人・NPOの違いや、決算期を一度も迎えていない場合、加点希望によっては追加で必要なものもあります)

書類名概要
・持続化補助金事業に係る申請書(様式1)
・経営計画兼補助事業計画①(様式2)
・補助事業計画②(様式3)
・補助金交付申請書(様式5)
・宣誓・同意書(様式6)
基本情報および事業計画書
※電子申請画面から直接入力
事業支援計画(様式4)商工会・商工会議所が作成
電子システム上から地域の商工会議所へ依頼
法人:貸借対照表および損益計算書(直近1期分)
個人:直近の確定申告書【第一表及び第二表及び収支内訳書(1・2面)または、第一表及び第二表及び所得税青色申告決算書(1~4面)】または【開業届及び売上台帳等】
NPO:貸借対照表および活動計算書(直近1期分)

さいごに

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の幅広い取り組みに利用することができる使い勝手の良い補助金です。
中小企業が対象となる補助金よりも計画書作成の難易度は低いため、自社の事業の強み・弱み・特徴などを整理して言語化する良い機会にもなる補助金です。
申請可能となるのは少し先の話となりますが、申請を検討される場合は、早めに準備を進めることをお勧めします。

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