大規模成長投資補助金は、中堅・中小企業が大規模な設備投資や拠点整備を通じて生産性を抜本的に向上させ、持続的な賃上げを実現するための国の補助制度です。
補助上限は最大50億円と国内の中小企業向け補助金の中でも最大規模で、工場の新設・増設、省力化設備の大規模導入といった思い切った成長投資を後押しします。本ページでは、制度の仕組みや申請のポイントを公募回によらない形でわかりやすく解説します。
最新の公募情報(スケジュール・補助率・投資額要件等)は公募ごとに変わるため、最新情報は以下の公式サイトまたはミラサポplusでご確認ください。
大規模成長投資補助金とは(概要)
大規模成長投資補助金は、地域の雇用を支える中堅・中小企業が、人手不足等の課題に対応しながら大規模な設備投資・拠点整備を行い、持続的な賃上げを実現することを目的とした補助制度です。
経済産業省が所管し、令和5年度補正予算にて新設されました。
通常の補助金(ものづくり補助金・省力化投資補助金等)と大きく異なる点は、投資額の前提規模が数十億円単位の大規模プロジェクトであることです。
工場の新設・物流拠点の構築・大型省力化設備の導入など、中長期的な成長戦略を見据えた投資が対象となります。
また、採択後は事業計画の概要や賃上げ目標が一般に公開されます。
これは他の補助金にはない特徴で、自社の大胆なチャレンジをステークホルダーに対外的に示す場にもなります。
補助の基本的な仕組み
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助上限額 | 最大50億円 |
| 補助率 | 1/3以下 |
| 補助対象者 | 中堅・中小企業(常時使用する従業員数2,000人以下) |
| 申請方法 | Jグランツによる電子申請(GビズIDプライムアカウントが必要) |
| 審査方式 | 書類審査(一次)+プレゼンテーション審査(二次)の2段階 |
補助率が1/3のため、例えば30億円の設備投資を行う場合、最大10億円の補助を受けられる計算になります(補助対象経費の範囲や審査結果により異なります)。
投資額要件・賃上げ要件・補助事業期間は公募回ごとに設定されます。必ず公募要領で最新の条件をご確認ください。
対象となる企業(概要)
対象となる企業
以下の条件を満たす企業が対象です。
- 常時使用する従業員数が2,000人以下の会社・個人等(中堅・中小企業)
- みなし大企業(大企業が実質的に支配している企業)でないこと
- 公募要領で定められた投資額要件を満たす大規模な成長投資計画があること
- 公募要領で定められた賃上げ要件を充たす計画があること
なお、一定の要件を満たす場合は、中堅・中小企業を中心としたコンソーシアム形式(複数企業の共同申請、最大10社)での申請も認められています。
スタートアップ企業の取り扱い
公募回によっては、設立から一定年数以内かつVCやCVCが株主に加わっているスタートアップ企業も対象に含まれることがあります。詳細は各公募要領でご確認ください。
「100億宣言企業」について
国の「100億宣言」に参加している企業(売上高100億円という目標を国のプラットフォームで宣言した企業)については、公募回によって投資額要件や賃上げ要件が緩和される区分が設けられることがあります。100億円規模の成長を目指している企業は、この宣言の活用もご検討ください。
補助対象となる取り組みの例
大規模成長投資補助金の補助対象となるのは、省力化・生産性向上・事業規模拡大につながる以下のような大規模投資です。
- 工場・生産拠点の新設・増設(製造業の拠点強化、物流倉庫の新設など)
- 大規模な省力化設備の導入(ロボット・自動化機器・高度加工設備など)
- 販売・流通拠点の整備
- 高度な制御・管理システムの導入
補助対象となる経費の主な区分は以下のとおりです。
| 経費区分 | 具体例 |
|---|---|
| 建物費 | 工場・倉庫・販売拠点の新設・増築工事、内装工事 等 |
| 機械装置費 | 生産設備、省力化機器、検査・計測装置 等 |
| ソフトウェア費 | 生産管理・在庫管理・制御システム 等 |
| 外注費 | 設備設置のための外部業者委託費 等 |
| 専門家経費 | 計画策定支援等に係る専門家費用 等 |
なお、外注費・専門家経費は投資額要件の計算に含まれないため、投資額要件の充足は建物費・機械装置費・ソフトウェア費の合計で判断されます。
賃上げ要件について
本補助金の大きな特徴のひとつが、補助事業の終了後に一定の賃上げを達成することが義務づけられている点です。
具体的には、補助事業終了後3年間にわたり、対象事業に関わる従業員1人当たりの給与支給総額が年平均で一定の割合以上上昇し続けることが求められます(具体的な数値は公募回ごとに設定されます)。
この賃上げ目標を達成できなかった場合は、未達成率に応じた補助金の返還が求められます(天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合を除く)。また、返還が発生しても事業者名は公表されない扱いとなっています。
補助金の申請時点で目標を確定させ、事業計画に織り込む必要があるため、賃上げ計画はできるだけ現実的な根拠に基づいて設定することが重要です。
審査の流れ
大規模成長投資補助金は、書類審査(一次審査)とプレゼンテーション審査(二次審査)の2段階審査が行われます。
- Jグランツより電子申請(成長投資計画・添付書類一式を提出)
- 書類審査(一次審査):提出書類の内容による審査
- プレゼンテーション審査(二次審査):一次審査通過者のみ対象
- 採択発表
- 交付申請・交付決定
- 補助事業の実施(発注・納品・支払)
- 実績報告・確定検査・補助金の受取
プレゼンテーション審査では、審査員に対して直接事業計画を説明する機会があります。事業の必要性・成長戦略・賃上げ計画の実現可能性などが問われるため、書類だけでなく口頭説明の準備も重要です。
なお、採択後に「補助金交付申請」を行い、事務局が補助対象経費の内容を精査します。採択イコール満額支給ではなく、精査の結果によって交付決定額が減額されるケースもあります。
申請のポイント
申請のポイント
1. 投資計画の規模と必然性を明確にする
この補助金の審査では「なぜ今この規模の投資が必要なのか」という必然性が重視されます。自社の事業環境・競合状況・市場の変化を踏まえた上で、なぜ今この投資が必要かを論理的に説明できることが前提です。
2. 賃上げ計画を現実的な数値で設計する
賃上げ要件は未達成の場合に返還が発生するため、目標値は「高ければ高いほど評価される」という性格もありながら、実現可能性が担保された根拠を持つことが不可欠です。過去の賃上げ実績・投資後の生産性向上見込みなどを数値で裏付けます。
3. 事業計画の概要公開を見据えて準備する
採択されると事業計画の概要と目標値が一般に公開されます。この補助金は対外的なコミットメントでもある点を理解した上で、ステークホルダーへの説明を見据えた内容にまとめることが大切です。
4. 他の補助金との比較・使い分けを検討する
大規模成長投資補助金は補助上限が大きい一方、補助率は1/3にとどまります。投資規模によっては、補助率1/2の中小企業成長加速化補助金(補助上限5億円)の方が有利なケースもあります。どちらが自社に適しているかは、投資規模・補助率・要件を比較した上で判断することが重要です。
こんな企業に向いている補助金です
- もともと大規模な工場新設・拠点整備を具体的に検討していた企業
- 投資計画がすでにある程度固まっており、この補助金をきっかけに前に進む決断をしたい企業
- 投資後に一定の賃上げを実現できる収益力・成長余力がある企業
- 事業計画を対外的に発信することで、従業員・取引先・金融機関へのアピールにつなげたい企業
逆に、以下のようなケースは慎重に検討されることをおすすめします。
- 投資計画がまだ固まっておらず、補助金ありきで検討を始めている
- 投資規模が要件の下限ギリギリで、自己資金・融資の調達見通しが不確実
- 賃上げ目標の達成見込みが立てにくい経営状況にある
最新情報について
大規模成長投資補助金は、公募回ごとに投資額要件・賃上げ要件・補助事業期間・スケジュール・事務局などの内容が変わります。本ページでは制度の基本的な仕組みを解説していますが、具体的な要件や申請手続きは必ず最新の公募要領をご確認ください。
大規模成長投資補助金の申請支援や、自社への適合性の確認についてはお気軽にご相談ください。
当事務所では書類審査通過の実績があり、計画書の作成から採択後のフォローまで対応しています。