「今回は補助金を使うので、銀行はあまり関係ないと思っています」
設備投資やIT投資の相談を受けていると、こうした言葉を耳にすることがあります。
しかし実務の現場では、
補助金を活用する会社ほど、金融機関への説明が重要になる
というのが実情です。
本記事では、
なぜ補助金と金融機関対策を切り離して考えると失敗しやすいのか、
そして、補助金を使う会社が金融機関とどう向き合うべきかを整理します。
本記事の対象について
本記事は、以下のような方を主な対象としています。
- 設備投資・IT投資に補助金の活用を検討している
- 補助金と融資をセットで考えたい
- 金融機関と中長期的な関係を築きたい
※補助金を「資金繰り対策」としてのみ捉えているケースや、緊急的な資金手当を前提とした内容ではありません。
補助金があっても「資金は足りない」理由
補助金は、多くの場合後払いです。
- 先に支出
- 事業実施
- 実績報告
- 補助金入金
という流れになるため、
- 設備代金
- 工事費
- システム導入費
は、一度すべて自己資金や融資で立て替える必要があります。
つまり、補助金を使う時点で、金融機関との関係はすでに重要になっているのです。
金融機関は「補助金の有無」だけでは評価しない
金融機関が評価するのは、
- 補助金が採択されるかどうか
ではなく - その投資が事業として成り立つかどうか
です。
補助金は、あくまで投資を後押しする要素のひとつに過ぎません。
そのため、
- 補助金があるから大丈夫
- 採択されたら何とかなる
という説明では、金融機関の判断は進みません。
補助金を使う会社に、金融機関が求める説明
補助金を活用する場合、金融機関は次の点を特に重視します。
① 補助金がなくても成立する事業か
- 補助金は一時的な支援
- 事業として自走できるか
この説明ができないと、金融機関は慎重になります。
② 補助金入金までの資金繰り
- つなぎ資金の確保
- 入金時期の想定
- 返済スケジュール
補助金特有のタイムラグを理解し、説明できるかが重要です。
③ 投資後の事業構造
- 売上はどう変わるのか
- コスト構造はどうなるのか
- キャッシュフローは改善するのか
補助金の説明ではなく、投資後の会社の姿が問われます。
補助金だけを前面に出すと、話が止まる理由
補助金の話ばかりをすると、
- 「補助金が通らなかったらどうするのか」
- 「その場合でも返済できるのか」
という疑問が金融機関側に生まれます。
その結果、
- 判断が保留になる
- 「まず補助金の結果を見ましょう」と言われる
といった状態になりやすくなります。
補助金を使う会社ほど「説明力」が問われる
補助金を活用する会社は、
- 投資額が大きい
- 設備内容が専門的
- 事業計画が複雑
になりがちです。
だからこそ、
- なぜこの投資なのか
- なぜ今なのか
- なぜ返せるのか
を金融機関目線で整理する力が重要になります。
専門家の役割は「補助金を取ること」ではありません
補助金支援における専門家の役割は、
- 採択される計画を書くこと
ではなく - 金融機関にも説明できる事業計画を整理すること
です。
この整理ができていれば、
- 補助金
- 融資
- 自己資金
を組み合わせた、無理のない投資が可能になります。
当事務所のスタンスについて
当事務所では、
- 補助金の採択のみを目的とした支援
- 金融機関説明を考慮しない計画作成
については対応しておりません。
一方で、
- 補助金と融資を一体で整理したい
- 投資後の事業構造まで含めて検討したい
といったご相談については、状況に応じて支援しています。
まとめ
補助金は、金融機関対策を不要にする制度ではありません。
むしろ、補助金を使う会社ほど、金融機関に対する説明力が問われます。
補助金・融資・事業計画を一体で考えることが、投資成功への近道です。
補助金・金融機関対策についてのご相談
補助金を活用した設備投資や事業拡大について、
金融機関対応も含めて整理したい場合は、お気軽にご相談ください。
※中長期的な視点での検討が前提となります。
