省力化投資補助金(カタログ注文型)は、「補助金申請のハードルが比較的低い」「設備選定がしやすい」といった点から、近年、多くの中小企業に活用されています。
一方で、
「実際には、どの業種が多く使っているのか」
「どのような設備が選ばれているのか」
といった実態ベースの情報は、これまであまり整理されていませんでした。
2026年1月、中小企業基盤整備機構(中小機構)より、カタログ注文型の交付決定概要(2025年12月末時点)が公表されました。
本記事では、その公式データ(採択件数2,294件)をもとに、カタログ型の活用実態と傾向を読み解いていきます。
採択件数は2,294件。特定業種への集中がはっきり表れている
今回公表されたデータによると、カタログ注文型の採択(交付決定)件数は2025年12月時点で 合計2,294件 です。
業種別に見ると、採択件数は次の業種に集中しています。
- 建設業:38.0%
- 製造業:24.1%
- 学術研究・専門・技術サービス業:10.5%
- 飲食サービス業:10.2%
- 小売業:7.2%
特に建設業と製造業だけで全体の 6割以上 を占めており、人手不足や作業の属人化が課題となりやすい業種ほど、カタログ型が積極的に活用されていることが分かります。
都道府県別では、都市部・製造集積地が上位
都道府県別の採択件数を見ると、以下の地域が上位となっています。
- 愛知県:153件
- 福岡県:124件
- 大阪府:120件
- 東京都:109件
製造業や建設業の集積地、また中小企業数が多い都市部を中心に活用が進んでいる点は、制度の性質を考えると自然な結果と言えるでしょう。
申請金額は「50万~100万円未満」が最多
補助金申請額の分布を見ると、
- 50万円以上~100万円未満:31.6%
が最も多くなっています。
高額な設備投資だけでなく、比較的小規模な投資で業務の一部を省力化する目的でも、カタログ型が活用されていることが読み取れます。
採択事業者の多くは「小規模・中小企業」
従業員数別では、
- 5人以下:18.4%
- 6~10人:14.1%
- 21~30人:13.3%
と、小規模企業の比率が高い結果となっています。
また、資本金別では1,000万円~3,000万円未満の企業がボリュームゾーンとなっており、まさに人手不足の影響を受けやすい中小企業層が中心であることが分かります。
採択件数が多い設備カテゴリは「初期掲載設備」が中心
製品カテゴリ別の採択件数を見ると、次の設備が突出しています。
- 測量機(自動視準・自動追尾機能付き):41.5%
- スチームコンベクションオーブン:9.8%
- 券売機:6.5%
- 清掃ロボット:4.5%
- 地上型3Dレーザースキャナー:4.0%
これらはいずれも、制度の比較的早い段階からカタログに掲載されていた設備です。
今回の採択結果は、「後から追加された設備が不利」という意味ではなく、早期にカタログに登録された設備が、結果として多く活用されてきたという実態を示していると考えられます。
業種別に見ると、設備選定の方向性は明確
業種別に採択された設備を見ると、業界ごとの省力化ニーズがはっきり表れています。
建設業
- 測量機が 約9割 を占める
- 現場測量・墨出し作業の省力化が主目的
製造業
- 印刷機、食品加工機、バリ取り装置、三次元測定機など
- 生産工程・検査工程の効率化が中心
飲食サービス業
- スチームコンベクションオーブン
- 券売機
→ 調理・接客の人手削減を目的とした設備が主流
このように、業種ごとに「選ばれている設備の傾向」はかなり固定化しています。
採択データから見える、カタログ型活用の本質
ここで重要なのは、カタログ注文型の制度設計そのものです。
カタログ型では、あらかじめ 国が「省力化に資する」と認定した設備のみがカタログに掲載されています。
そのため、一般型のように「なぜこの設備が省力化につながるのか」を詳細に説明する必要はありません。
今回の採択データから見えてくるポイントは、次の点です。
- 初期段階から掲載されていた設備の活用が先行した
- 業種ごとに“定番設備”が早期に定着した
- 制度理解が進んだ業界から利用が広がった
- 設備の優劣よりも、
自社の業務プロセスにどう当てはめるかの整理が重要
カタログ型は、
設備の性能を競う補助金ではなく、
認定済み設備を「どの業務にどう使うか」を整理する補助金
と捉えるほうが、実態に即しています。
まとめ|カタログ型は「使われ方」を知ることが重要
省力化投資補助金(カタログ注文型)は、すでに 2,000件を超える交付決定実績があり、現場レベルで実際に使われている補助金です。
今回公表された公式データからは、
- 活用が進んでいる業種
- 設備選定の実態
- 投資規模の現実的な水準
が、かなり明確に見えてきます。
これからカタログ型の活用を検討する場合には、「どんな設備が通るか」ではなく、「自社の業務のどこに当てはめるか」を整理することが、
制度を有効に活用するための第一歩となるでしょう。
