高単価なインバウンドツアーを実現するための補助金・地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業の公募が開始しました(締切2025年3月14日)

2024年のインバウンド市場は好調で、訪日外客数は過去最高の3500万人・インバウンド消費額は8兆円を達成したものと見込まれています。しかし政府目標である2030年訪日外客数6000万人・インバウンド消費額15兆円の達成のためにはまだ遠く、達成のためには、一人あたりの消費額を2万円以上の積み増しが必要だとしています。

諸外国のインバウンド客の消費支出割合
出典:観光庁

特に日本はアメリカやフランスなどの欧米諸国と比較して、インバウンド客の娯楽サービスに対する消費割合が低いことが課題だとしています。

地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業は、このような課題を解決するため、高単価な特別体験『プレミアムインバウンドツアー』の造成を支援する補助金です。

地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業の公募スケジュール

令和7年2月6日(木)~3月 14 日(金)12:00[締切厳守]

地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業は、2次公募の実施を現時点では予定していません。1次の応募状況・審査状況により予算次第では2次公募の可能性もゼロではないでしょうが、その場合でも採択率は間違いなく減少し、狭き門となりますので、興味がある方は今回の公募での申請を強くお勧めします。

地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業に申請できる事業者の要件

地方公共団体、独立行政法人、観光地域づくり法人(DMO)、民間事業者等

後述する補助対象事業を実施する事業者であれば、公的機関・民間企業問わず応募が可能です。

地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業で補助対象となる事業

下記4つの要件すべてを満たす事業が、地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業での補助対象事業となります。

  1. 類型①~③のいずれかを満たす特別性のある体験商品造成であること
  2. 販売に係る要件を満たすこと
  3. 事業成果に係る要件を満たすこと
  4. 観光庁・事務局からの指示に係る要件を満たすこと

1.類型①~③のいずれかを満たす特別性のある体験商品造成であること

造成するプレミアムインバウンドツアーは、下記①~③のいずれか(または①~③の組み合わせ)である必要があります。

類型概要
①プレミアム型特別な機会を活用したより高単価な体験商品であるもの
②コト消費×モノ消費型希少性の高い体験コンテンツ(コト消費)と高付加価値な地域産品・工芸品等の購入(モ
ノ消費)を組み合わせた体験商品であり、地域への高い経済波及効果が期待されるもの
③規制改革型未公開エリア開放や早朝・夜間の活用など規制緩和を行った上、造成される高単価な特別
体験商品であるもの

2.販売に係る要件を満たすこと

本事業で造成する体験商品は、下記の販売要件を満たすものである必要があります

  • 販売価格に関しては、補助事業の終了後も持続的に販売可能な価格設定とすること(ただし中長期的に展開していくにあたって、妥当性のある計画・理由があるのであれば本事業実施期間中は特別価格での提供も可)
  • インバウンド客にあった適切な体験商品の提供のため、専門的なノウハウを有する事業者と実施体制に組み入れ、随時アドバイスを受ける等の工夫をすること
  • 提供する体験商品が旅行商品に当たる場合は、旅行業法に基づき販売するものであること
  • 体験商品で使用する外国語は、ターゲット国で使用されている言語であること
  • 本事業だけでの提供ではなく、その後も継続すること前提での販売・実施であること

3.事業成果に係る要件を満たすこと

  • ウェブアンケートシステム又は現場での実地調査等により、事業に係る効果検証等の調査を実施すること
  • 補助事業完了後は、指定様式に従い実績報告書をまとめ提出すること

4.観光庁・事務局からの指示に係る要件を満たすこと

観光庁や事務局からの指示について、適時適切に対応すること

特別な体験が行えるプレミアムインバウンドツアーを、補助金が出るからと一定期間中のみ提供するのではなく、その後も継続して実施することで、持続的に多くの消費を獲得することを目指している補助金であることがわかります。

地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業の補助額

地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業の補助額は、1,000 万円までは定額で、1,000 万円を超える部分については 8,000 万円まで補助率1/2としています。(最大補助金額は4,500万円)
最低事業費は1,500 万円ですので、最低でも250万円の自己負担が必要となります。

地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業の補助対象経費

地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業で補助対象となる経費は下記のとおりです。体験商品の造成を補助することが主目的ですので、①が全体の投資の50%以上である必要があります。

補助対象経費分類経費の例
①体験商品造成に係る経費(人件費・旅費を含む)・体験商品等の企画開発
・外国語ガイドの育成・確保
・有識者からの意見聴取
・インバウンドに精通したランドオペレーター、DMC 等による体験商品の改善
・モニターツアーの実施とそれを踏まえた体験商品の改善
・体験商品の紹介、説明、案内等に関する多言語対応
・効果測定に必要な調査 等
②備品の購入・設備の導入に係る経費体験商品等の造成等に必要となる備品の購入や設備の導入
(体験商品等の造成に際して真に必要不可欠で事業終了後の自立的な事業継続に必要なものに限る。)
③ プロモーションに係る経費・体験商品を販売するために必要となる写真・動画の作成、ウェブサイト、パンフレット等のインバウンド向けの情報発信のためのツールの作成・翻訳
・ 一般向けの動画の撮影やインフルエンサーの招聘など、造成した体験商品の認知拡大を目的とした一般向けの広告宣伝
・ 海外商談会への出展や体験商品に関するファムトリップの実施等、造成した体験商品の販売経路の確保に関すること

地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業の補助金減額条件

地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業を活用して造成したインバウンドツアーの利益が、事業実現にためにかかった総費用(補助対象外経費を含む)を上回るような大きな利益が発生した場合は、1000万円を上限として補助金額が減額されるものとしています。

なお、交付決定前に発生(発注や支払いなど)した経費についてはすべて補助対象外となりますのでご注意ください。

地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業の申請に必要な書類

  • 事業計画書 (様式1)
  • 支出計画書(様式2)
  • 事業実施スケジュール(様式3)
  • 事業概要(様式4)
  • 連携先の同意書(様式5)

地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業の申請に必要な書類は上記のとおりです。それぞれ専用の様式がありますので、ダウンロードの上で、審査の観点も考慮したうえで計画をまとめる必要があります。

地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業の審査の観点

地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業は、下記の観点から審査が行われ、優秀な計画が採択されます。

  • 体験商品の特別性・独自性
  • 海外販路の妥当性
  • 価格設定の妥当性
  • 消費拡大効果
  • 地域経済循環への貢献
  • 次年度以降の持続可能性

体験商品がいかに豪華で素晴らしくとも、値付けの根拠が見られなかったり、地域への貢献度合いが少ない、持続可能性が見えないといった場合には採択を受けることは難しいです。

補助金は税金を原資とするため、差別化要素だけではなく実現可能性が厳しく見られます。本事業実現のためにはインバンドツアーに知見のある事業者との連携が必須となりますので、根拠のあるデータをもとに、第三者にもわかりやすいように丁寧に事業計画書を作成いただくことをお勧めします。

おわりに

通常のツアーでは味わえないような特別な体験ができる高額なプレミアムインバウンドツアーということで、どういうアイデアが集まるのか、採択結果を待つのが非常に楽しみな補助金でもあります。ご興味のある事業者様は、ぜひこの機会にプレミアムインバウンドツアーの検討を行っていただければと思います。

中小企業診断士。 補助金の申請支援や融資に関する相談など、中小企業のお金に関するお悩みの解決に尽力しています。国の施策はとにかく複雑なものが多いですが、1件1件について常により良い結果を目指し、わかりやすくをモットーに、全力で事業者様をご支援しております。