2025年7月25日に、ものづくり補助金(正式名称ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)の19次公募の採択結果が発表されました。
本記事では、19次公募の採択率と、残念ながら不採択となってしまった事業者様が、採択を目指すためのポイントをお伝えします。
目次
ものづくり補助金2025・19次公募の採択率
2025年4月25日〆切(2025年における1回目の公募)の19次公募の採択率は、製品・サービス高付加価値化枠については32.3%、グローバル枠については24.1%という厳しい結果でした。
例年の平均がおよそ50%程度ですので、大きく下回った形となります。
申請枠 | 申請者数 | 採択者数 | 採択率 |
---|---|---|---|
製品・サービス高付加価値化枠 | 5,025 | 1,623 | 32.3% |
グローバル枠 | 311 | 75 | 24.1% |

上記はものづくり補助金のホームページで確認できる、過去申請回の申請者数(棒グラフ)および採択率(線グラフ)です。17次~19次の結果は反映されていませんが、それ以前の申請回については確認することができます。
このグラフを見ると、今回と同程度の採択率なのは、コロナ期の特別枠が追加され申請者が非常に増えた4次公募以来となります。
補助金は予算を基に実施されているため、「申請者が多くなると必然的に採択者数が減ってしまう」というのはあるかと思います。
今回も、2024年の公募が早期に終了したため、昨年応募しようと思ってできなかった事業者様が今回19次に申請されたというのも多いかと思います。15次・16次は通常枠で約4,000社が申請したところを、今回は5000社を超えていますので、通常以上に競争率が高い状況となってしまったかと思われます。
ただ、申請者数の多さを加味しても厳しい採択率であったかとは思います。
不採択となってしまった事業者様が再チャレンジをされる場合や、これから申請を検討中の方は、下記観点を確認いただければと思います。
採択を目指すためのポイント
今年からものづくり補助金は、計画書の大半を電子申請画面からの直接入力という形となりました。
表やイラスト等による補足は最低限に制限され、文章で説明することが求められたことから、計画書の見た目上(と言ってしまって良いのかどうかですが)の良し悪しが審査に影響することが減り、投資の内容や、投資内容が自社の経営方針・中長期的な事業計画とどのように関連するのか、それが市場ニーズ等と一致しているのかなど、純粋な取組内容によって審査が行われるようになったのではないでしょうか。
このような状況の中、採択を目指すためには、基本に立ち返り、ものづくり補助金について正しく理解いただくことが重要かと思います。
事業計画は補助金の趣旨と一致しているか
ものづくり補助金は、「自社の生産性向上に繋がる設備投資」であれば幅広い投資に利用できた昨年までとは異なり、2025年からは「革新的な新製品・新サービス開発や海外需要開拓を行う事業のために必要な設備投資等を補助する」とされており、これに一致しない取組は、いかに素晴らしい事業計画であっても補助対象となりますので、ご留意ください。
革新的な新製品・新サービス開発とは
顧客等に新たな価値を提供することを目的に、自社の技術力等を活かして新製品・新サービスを開発することを指します。
- 単に機械装置等を導入するだけで新製品・新サービスの開発を伴わないものは補助対象外となる。
- 同業の中小企業者等や同一地域における同業他社において相当程度普及しているものの開発は、新製品・新サービス開発には該当しない。
海外需要開拓を行う事業とは
国内の生産性を高めるための事業で、以下の4つを指します。
- 海外への直接投資に関する事業
- 海外市場開拓(輸出)に関する事業
- インバウンド対応に関する事業
- 海外企業との共同で行う事業
本事業で取得した財産は、原則として専ら補助事業に使用される必要があります。
補助事業以外にも利用するといったことが記載されている計画書は不採択とされる可能性が高いですし、採択された後でも、実際に本補助事業以外で用いた場合は補助金返還の必要が発生してしまいますので、ご注意ください。
事業計画は審査に必要な内容をきちんと盛り込んでいるか
補助金は、審査員による審査を経て採択者が決定されます。審査項目については公募要領等に具体的に記載がありますので、どれか一部がとびぬけて良くかけているのでは足りず、きちんと各審査項目について丁寧に説明を行う必要があります。

ネックになりやすい賃上げ率
今年から、賃上げ要件などの目標値は、国が定めたものではなく事業者が各自目標値を決めることとなりました。下記のような資料が公開されている以上、賃上げ率が高いほど採択もされやすいのかとは思います。
ただ、未達成であればその割合に応じて補助金の返金が発生してしまうため、あくまで実現可能な範囲で高い目標設定いただく必要があるかと思います。

加点項目をできる限り取っているか
最大6項目の加点を受けることができます。文字で説明できる内容に制限がかかってしまった中で、文書による優劣の差は縮まり、最終的に加点項目の数が採択を左右するような状況かと思います。
自社が取得できる加点についてしっかり確認し、申請することをお勧めします。

さいごに
現在、ものづくり補助金は21次公募中です。(締切2025年10月24日)
まだ十分に時間を取って準備を進めることができるタイミングかと思いますので、各ポイントを踏まえ、チャレンジいただければと思います。