2025年IT導入補助金についてIT導入支援事業者の事前登録の受付が開始されました

2025年のIT導入補助金について、1月31日よりIT導入支援事業者の事前登録申請が開始しました。
本記事では、2024年度との相違点や、スムーズにIT導入支援事業者登録を行うための注意点等をご説明いたします。
ソフトウェアやクラウドサービスの提供を行われている事業者様のご参考になれば幸いです。

IT導入補助金2025の申請スケジュール

申請区分スケジュール
IT導入支援事業者の事前登録申請
※2024年に交付申請支援を行った事業者のみ可
2025年1月31日 10:00~
2025年2月20日 17:00(予定)
IT導入支援事業者の登録申請2025年3月31日(月)~(予定)
ITツール(大分類Ⅲ役務)の登録申請2025年2月28日(金)~(予定)
ITツール(大分類Ⅲ役務以外)の登録申請2025年3月31日(月)~(予定)
補助事業者の1次交付申請2025年3月31日(月)~
2025年5月12日(月)(予定)
1次交付決定2025年6月18日(水)(予定)
IT導入補助金の各種申請の流れ

IT導入補助金は、ソフトウェアの提供を行う【IT導入支援事業者】と、IT導入支援事業者が提供するITツールを補助金を用いて自社に導入したい【補助事業者】が、共に事務局に対して【交付申請】を行うことで補助金を受けることができる制度です。

申請のためには、まずITツールの提供を行う企業(個人事業主も可)が事務局に対し【①IT導入支援事業者の登録申請】を行い、採択を受けます。次に具体的なITツール情報をデータベースに登録するための【②ITツール登録】を行い※、それが完了して初めて中小企業等はデータベースに登録されたITツールについて補助金の【③交付申請】を行うことが可能となります。

※実際には、IT導入支援事業者の登録申請と合わせ、いくつかのITツール登録も同時申請を行えます。ただ、すべてのITツールについて一度に申請が行えるわけではないため、事業者申請の際に申請できなかったITツール等については、その後別途ITツール登録申請を行う必要があります。

つまり、補助事業者がいくら『この企業からこのソフトウェアを購入したい。できれば補助金を使いたい!』と思ったとしても、その企業がIT導入支援事業者として登録を受けていなければ補助金を利用することができません。

1月31日より受付開始したのは、このIT導入支援事業者の事前登録申請です。
補助事業者が補助金の交付申請が行えるようになるのは3月31日からですので、できればそれまでに完了しておきたい手続きとなります。

IT導入支援事業者の事前登録対象者

IT導入支援事業者として事前登録を行えるのは全てのITツール提供会社ではなく、下記要件をすべて満たす必要があります。当てはまらない企業は、3月31日からの一般登録受付開始を待つ必要があります。

  • IT導入補助金2025への事前登録を希望するIT導入支援事業者
  • IT導入補助金2024において交付申請を支援した実績があるIT導入支援事業

前者はそれはそうだろうという話ですが、後者の要件があるため、2024年中にIT導入支援事業者として登録を受けていない事業者や、登録したものの補助事業者から交付申請要請がなかった事業者については、今回の事前登録の対象外となります。

なお、IT導入補助金は、複数の企業が連携して(コンソーシアム)1つの「IT導入支援事業者」として役務を提供することも可能ですが、この場合、幹事社もしくは構成員のうち1社が昨年度交付申請実績があれば、今回の事前登録の対象となることが可能です。

事前登録で合わせて登録申請ができるITツール

事前登録の際に、下記要件をすべて満たすITツールについては、合わせて登録申請が可能です。

  • IT導入補助金2024において交付申請された実績があるITツール
  • 大分類Ⅰソフトウェア、大分類Ⅱオプション、大分類Ⅳカテゴリー9(POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機)、大分類Ⅴサイバーセキュリティお助け隊サービスのいずれかのITツール

大分類Ⅲ役務に該当するITツールについては2月28日、前年に支援実績のないITツールや、大分類Ⅳカテゴリー8(PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機)に該当するITツールついては3月31日の受付開始を待つ必要があります。

IT導入支援事業者登録について2024年との相違点・注意点

IT導入支援事業者登録について、2024年と比較して下記の変更が発生しています。

  • 販売実績一覧の提出
  • 履歴事項全部証明書又は本人確認書類の提出
IT導入補助金販売実績一覧

IT導入補助金で提供できるITツールは、前提として自社で過去に販売実績があるITツールに限定されます。(そのため、立ち上げたばかりの会社や、登録したいITツールを扱い始めたばかりの企業は、まず補助金を活用せずに提供した実績を作ってからの登録申請が必要です)

この実績について、これまでは入力フォーム上で入力していましたが、今年は専用の様式が用意されましたので、様式に記載したうえで申請が必要となります。

また、本人確認書類については過去登録時に提出していても、今回また最新版の提出が改めて必要となります。

ITツール登録について2024年との相違点・注意点

ITツールの登録についても、2024年との変更が発生しています。

  • ITツールの正式な製品名の登録
  • ソフトウェアの有するプロセスに関する概要説明
  • プロセスに該当する機能の見直し
  • 提出資料の要件
  • 大分類Ⅲ役務のITツール登録申請方法の変更

ITツールの正式な製品名の登録

「イグナル会計ソフト エントリープラン」「イグナル会計ソフト ミドルプラン」「イグナル会計ソフト プロフェッショナルプラン」のように、1つのITツールに複数のプランがある場合、通常提供価格が異なるためプラン別のITツールを個々に登録します。
2025年からは各ツール登録時に「イグナル会計ソフト」という、プラン名を含まないツール名のみを入力する欄が増えます。(些細な変更といえます)

ソフトウェアの有するプロセスに関する概要説明

ITツールは、事務局が定めたプロセス(業務区分のようなもの)一覧のいずれかに該当するものである必要があります。

IT導入補助金のプロセス例
プロセス例:共P-01①顧客対応・販売支援

登録するITツールがどのプロセスに対応するものであるのかを説明するために【機能説明資料】を添付して申請することになります。機能説明資料は通常顧客に提供するようなカタログをそのまま添付するのではなく、IT導入補助金のITツール登録用に新規に作成して添付すると、余計な差戻が発生せずスムーズです。

なお、機能説明資料は大分類ごとに求められる情報が異なります。各項目についてそれぞれ見出しを付けて、必要情報を記載することをお勧めします。

IT導入補助金分類別の機能説明情報
例:大分類Iソフトウェアに該当するITツールを登録する際の必要情報

プロセスに該当する機能の見直し

2025年で一番大きな変更点かつ、これで自社のITツール販売がぐっと容易になる企業様も多い変更点かと思います。

IT導入補助金2024において汎P-07に分類されていた機能のうち、「ビジネスアプリ作成ツール」、「ワークフロー」、「BI、分析・解析専門ツール」について、IT導入補助金2025より共P-05に変更となりました。

IT導入補助金 一部ツールの登録区分の変更

IT導入補助金は業務の効率化のためのITツールの導入を補助するものですから、昨年まで汎用ツールとして登録されていた、「ビジネスアプリ作成ツール」、「ワークフロー」、「BI、分析・解析専門ツール」は、それのみでのIT導入補助金の利用はできませんでした。(汎用ツールではない業務ツールを申請するのと一緒に申請する場合のみ利用できました)

この変更により、たとえばKintoneなどを利用したい顧客に、KintoneのみでIT導入補助金の利用が可能となります。

※「文書作成ワープロソフト」や「WEB会議システム」などのツールは今回も汎用ツール枠にありますので、Office365などは他のツールとのセットでなければ申請できないのは今年も変わりません。

IT導入補助金 汎用ツール
他の製品と組み合わせてIT導入補助金が利用できる汎用ツール

提出資料の要件

前項のとおり、ITツール登録時には機能説明資料を作成し、添付する必要があります。

必要な情報を事務局が確認できずに差戻となった場合は、資料の末尾やトップなどに変更履歴などを記載し、前回提出時からの変更点を事務局が容易に確認できるようにする必要があります。

大分類Ⅲ役務のITツール登録申請方法の変更

大分類III

大分類III役務に該当するITツールはスケジュールに記載のとおり、2月28日からの登録受付開始となり、事前登録時点では直接的に関係はありませんが、事前にこの変更についても通知がされています。

変更点は下記の2点です。

  • 価格説明資料の指定様式化
  • カテゴリー1(ソフトウェア)ごとにITツール登録を実施

価格説明資料の指定様式化

販売実績同様に、価格の妥当性を説明するための資料を、指定様式に沿って作成し提出が必要となります。現時点ではまだ様式は準備中で公開されていませんが、ITツール登録要項上では、下記の情報の記載が必要としています。

① 該当する役務業務ごとに、作業内容の説明が詳細に記載されていること。
② 役務を提供する従業員ごとに、時間単価×時間数により、価格の内訳が算出されていること。
③ 価格は税抜で記載されていること。
④ ②の時間単価は1万円を超えていないこと。
⑤ 価格の内訳が、システム上で入力する標準販売価格と整合性が取れる内容となっていること。

カテゴリー1(ソフトウェア)ごとにITツール登録を実施

カテゴリー6(導入設定・マニュアル作成・導入研修)及びカテゴリー7(保守サポート)のITツール登録申請において、ソフトウェアとの紐づけが必要となります。

同じ価格の「保守サポート」だとしても、ツールごとに個別登録が必要となります。
また、紐づけるためには先にメインとなるITツール(ソフトウェア)の登録が完了している必要があります。

ソフトウェアの登録が済んでいなければ役務の登録が行えず、役務の登録が行われていなければ、それを補助対象として交付申請を行うことができません。

ソフトウェアの申請をなによりも早めに進めておくに越したことはありません。

おわりに

IT導入補助事業者の事前登録をきちんと行っておくことで、その後のITツールの登録申請や交付申請もスムーズに開始することが可能となります。

3月末の交付申請開始に合わせ、自社のITツールを検討中のお客様に事前案内を行えるよう、事前申請が可能な企業様は2月20日までに忘れずに手続きを行いましょう。

当方ではIT導入支援事業者のご支援も行っていますので、申請にサポートを必要とする場合はお気軽にご相談ください。

中小企業診断士。 補助金の申請支援や融資に関する相談など、中小企業のお金に関するお悩みの解決に尽力しています。国の施策はとにかく複雑なものが多いですが、1件1件について常により良い結果を目指し、わかりやすくをモットーに、全力で事業者様をご支援しております。