IT導入補助金2025通常枠の2024年との変更点

2025年2月28日に、IT導入補助金2025の公募要領が公開されました。
昨年からの変更点がいくつかありますが、この補助金を活用してソフトウェアを導入したいという中小企業・小規模事業者にとっては良い変更点が多いかと思います。
IT導入補助金ではいくつかの申請枠が存在しますが、本記事では特に「通常枠」をピックアップして2024年との変更点についてご説明します。

IT導入補助金とは

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者(個人事業主含む)が自社の生産性向上につながるソフトウェア(クラウドサービス含む)を導入するための費用の補助をすることで、企業の生産性向上を図ることを目的とする補助金です。

特徴的なのは、ソフトウェアであれば何でも補助対象となるわけではなく、事前にIT導入支援事業者(ベンダーや販売店)が自社が取り扱うソフトウェアを事前に申告し、事務局が承認しホームページ上に掲載されたものだけが補助対象となるということです。

中小企業等は、購入希望のソフトウェアが補助金の対象となるかを販売店に直接確認するか、もしくはホームページ上で検索して確認したうえで、販売店と一緒に補助金を申請する必要があります。

一見複雑なようにも見えますが、登録済のソフトウェアであれば複雑な手続きを踏むことなく申請をすることが可能で(一般の補助金に求められるような複雑な事業計画書などは必要ありません)、採択率も2024年の平均は約85%と高いため、これまで補助金を利用したことがないという方の補助金チャレンジ第一歩としてもおすすめの補助金です。

IT導入補助金2025の2024年との相違点

ここからは、去年までとの相違点についてのご説明となります。

通常枠についての(私が思う)大きな変更点は下記のとおりです。

  1. 条件を満たす企業については補助率1/2から2/3へアップ
  2. 補助対象経費に「活用コンサルティング」が追加
  3. 単独での申請可能なソフトウェアに、「ビジネスアプリ作成ツール」、「ワークフロー」、「BI、分析・解析専門ツール」が追加
  4. みなし同一法人の考え方の導入
  5. 「みらデジ経営チェック」が終了した代わりに加点項目として「IT戦略ナビwith」が新規追加
  6. 過去2年度内に交付決定を受けたソフトウェアのプロセスと、今回導入するソフトウェアが有するプロセスが重複する場合は減点対象(完全一致の場合不採択)

1. 条件を満たす企業については補助率1/2から2/3へアップ

これまで通常枠の補助率は、中小企業・小規模事業者いずれも1/2でした。
IT導入補助金2025では、直近三カ月以上、地域別最低賃金+50円以内で雇用する従業員が全体の従業員数の30%以上である場合、補助率が2/3に引き上げられます。
補助率の引上げを希望する企業は、申請時にほかの添付資料と合わせて、「賃金状況報告シート」(2025年3月3日時点では様式はまだ非公開)の提出をする必要があります。

これまで例えば120万円のソフトウェアを導入する場合、通常補助金額は60万円であるところを、要件を満たす場合は80万円の補助を受けることが可能となります。

2. 補助対象経費に「活用コンサルティング」が追加

2024年までは、補助対象となる役務(純粋なソフトウェア価格以外の販売店のサポート費)に「活用コンサルティング」が追加されました。

① ITツール利活用に関するノウハウの提供を目的とするコンサルティング費用
② ITツール利用定着のためのコンサルティング費用
③ 経営実態の変化に対応したITツールの利活用に係るコンサルティング費用

が補助対象となります。

IT導入補助金2025活用コンサルティングの業務内容の例
出典:IT導入補助金2025

せっかくソフトウェアを導入したものの定着に繋がらないという結果になってしまうと意味がありません。(ついでにいうと、補助金を使ってソフトウェアを導入後利用していない場合、補助金の返還対象となってしまいます)
販売店が活用コンサルティングを対象としている場合は、積極的な活用をおすすめします。

なお、中小企業等には基本的に関係はありませんが、IT導入支援事業者においては、役務について登録方法・実績報告方法が大きく変更されています。補助対象として申請する場合には十分に注意する必要があります。

3. 単独での申請可能なソフトウェアに、「ビジネスアプリ作成ツール」、「ワークフロー」、「BI、分析・解析専門ツール」が追加

2024年までは、他のソフトウェアと共に申請する場合のみ補助対象となった「ビジネスアプリ作成ツール」、「ワークフロー」、「BI、分析・解析専門ツール」が、IT導入補助金2025ではこのアプリのみでの単独申請が可能となります。

4. みなし同一法人の考え方の導入

これまでIT導入補助金では、同一の社長が複数の会社を経営している場合などに、それぞれの会社でIT導入補助金を利用することができていました。IT導入補助金2025では、下記いずれかに該当する場合は「みなし同一法人」として、1社のみしか申請が行えなくなります。
(だいぶ前から他の補助金ではこの考え方が導入されており、IT導入補助金についてもようやく導入された形となります)

① 親会社が議決権の50パーセント超を有する子会社が存在する場合
※親会社が議決権の50パーセント超を有する子会社が、議決権の50パーセント超を有する孫会社や、更にその孫会社が議決権の50パーセント超を有するひ孫会社等についても同様の考え方に基づく。
② 個人が複数の会社のそれぞれの議決権を50パーセント超を保有する場合
※配偶者・親子及びその他生計を同一にしている者は全て同一の個人として取り扱う。また、過去に交付決定を受けた個人事業主が設立した法人についても、同様の取扱いとする。
③ 代表者及び住所が同じ法人、主要株主及び住所が同じ法人、実質的支配者が同じ法人の場合
※実質的支配者の確認方法については、犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則(平成20年内閣府・総務省・法務省・財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省令第1号)で定められている。

5. 「みらデジ経営チェック」が終了した代わりに加点項目として「IT戦略ナビwith」が新規追加

みらデジ事業終了に伴い、2024年まで必須要件であった「みらデジ経営チェック」が削除され、代わりに「IT戦略ナビwith」(2025年4月1日オープン予定)を利用した場合加点を受けることが可能となります。
無料で利用することができ、そして利用すれば採択される確率が高まるため、やっておくに越したことはないかと思います。

6.過去2年度内に交付決定を受けたソフトウェアのプロセスと、今回導入するソフトウェアが有するプロセスが重複する場合は減点対象(完全一致の場合不採択)

IT導入補助金2023とIT導入補助金2024で補助金をうけたプロセスと、IT導入補助金2025で補助を受けようとするプロセスが重複する場合に、審査時に減点が加わります。
また、プロセスが完全一致している場合には不採択となります。

IT導入補助金2025で減点となる組み合わせ
IT導入補助金2025で不採択となる組み合わせ

他にも細かい変更点はいくつかありますが、不自然な変更点は見当たらないため、特に利用するにあたって大きな影響はないかと思います。

さいごに

2025年3月31日より、いよいよIT導入補助金2025が開始します。去年は例年よりもだいぶ早く募集が終了してしまったため、再開を待ち望んでいた中小企業やIT導入支援事業者も多いのではないでしょうか。
補助金は年度末よりも最初の方が採択されやすいという傾向もありますので、興味がある方はお早めに申請するソフトウェアの検討を始めてみていただければと思います。

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