ジタル化・AI導入補助金は、中小企業・小規模事業者の業務効率化・DX推進・インボイス対応を支援する国の補助金制度です。

令和7年度まで「IT導入補助金」という名称で実施されていた制度が、令和8年度から「デジタル化・AI導入補助金」に名称変更されました。
基本的な仕組みは従来のIT導入補助金を引き継いでおり、AI活用を含むデジタル化支援の強化が打ち出されています。

本ページでは、令和8年度の制度概要を通常枠インボイス枠(インボイス対応類型)を中心にわかりやすく解説します。

最新情報はこちら(公式):

デジタル化・AI導入補助金とは(概要)

デジタル化・AI導入補助金は、中小企業・小規模事業者等が自社の課題解決や生産性向上のためにITツール(ソフトウェア・サービス等)を導入する際の経費の一部を国が補助する制度です。

この制度の大きな特徴は、IT導入支援事業者(ITベンダー等)との共同事業体として申請する点です。企業が単独で申請するのではなく、ITツールを提供するベンダーと一緒に計画を作成し、申請・導入・効果報告までを協力して進めます。

事務局はTOPPAN株式会社が運営しています。

対象となる企業(概要)

対象は、中小企業・小規模事業者(法人・個人事業主を含む)です。主な申請要件は以下のとおりです。

  • 日本国内で事業を営む中小企業・小規模事業者等であること
  • GビズIDプライムを取得していること
  • 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「SECURITY ACTION」の宣言を行うこと
  • IT導入支援事業者が事務局に登録したITツールを導入すること
  • 労働生産性の向上に係る3年間の事業計画を策定し実行すること(通常枠)

大企業の子会社等、一定の資本関係がある事業者は対象外です。
また、過去のIT導入補助金で交付決定を受けた事業者には減点措置が適用される場合があります。

補助対象となるITツール例

補助対象のITツールは、IT導入支援事業者が事務局に事前登録したものに限られます。
主に以下の構成です。

ソフトウェア(大分類Ⅰ)
業務プロセスに対応したソフトウェアです。顧客対応・販売支援、決済・債権債務・資金回収、供給・在庫・物流、会計・財務・経営、総務・人事・給与・労務などの共通プロセスに加え、業種固有プロセスや汎用・自動化・分析ツールも対象となります。AIの搭載有無を含む機能概要はITツール検索で確認できます。

オプション(大分類Ⅱ)
機能拡張、データ連携ツール、セキュリティ(最大1年分)。

役務(大分類Ⅲ) 導入コンサルティング・活用コンサルティング、導入設定・マニュアル作成・導入研修、保守サポート(最大2年分)。役務の補助対象経費は200万円が上限です。

ハードウェア(大分類Ⅳ) ※インボイス枠のみ
PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機、POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機。

補助額・補助率

通常枠

業務効率化・生産性向上のためのITツール(ソフトウェア)を導入する、最も基本的な枠です。

項目5万円〜150万円未満150万円〜450万円以下
必要なプロセス数1プロセス以上4プロセス以上
補助率1/2以内1/2以内
賃上げ目標加点項目必須要件
補助対象経費ソフトウェア購入費、クラウド利用費(最大2年分)、導入関連費同左

補助率の引上げ措置:令和6年10月〜令和7年9月の間で、「当該期間における地域別最低賃金以上〜令和7年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある場合は、補助率が2/3以内に引き上げられます。

インボイス枠(インボイス対応類型)

インボイス制度への対応を目的として、会計・受発注・決済のいずれかの機能を有するソフトウェアを導入する枠です。ハードウェア(PC・タブレット・レジ等)も補助対象になる点が通常枠との大きな違いです。

項目1機能のみ2機能以上
ITツール補助上限50万円350万円
50万円以下の補助率3/4以内(小規模事業者は4/5以内)同左
50万円超の補助率2/3以内
ハードウェア補助上限補助率
PC・タブレット等10万円1/2以内
レジ・券売機20万円1/2以内

賃上げ計画について

通常枠で150万円以上の補助金を申請する場合は、賃上げが必須です。
それ以外の場合は、賃上げ計画は加点項目(任意)となっています。

150万円未満の申請の場合:

  • 過去にIT導入補助金2022〜2025の交付決定がない事業者 → 賃上げ計画(給与年平均成長率3%以上+事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上)は加点項目(任意)
  • 過去に交付決定がある事業者 → 賃上げ計画(給与年平均成長率3.5%以上+事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上)は加点項目(任意)

150万円以上の申請の場合:

  • 過去に交付決定がない事業者 → 給与年平均成長率3%以上+事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上が必須
  • 過去に交付決定がある事業者 → 給与年平均成長率3.5%以上+事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上が必須

小規模事業者、保険医療機関、介護サービス事業者、社会福祉事業者、学校法人等は賃上げ要件の適用外です。

賃上げ目標が未達の場合は補助金の返還が求められる場合があります。
特に事業場内最低賃金の未達は年度ごとに判定され、未達の翌年度以降は返還対象となるため注意が必要です。

インボイス枠の場合:

  • 過去にIT導入補助金2022〜2025の交付決定がない事業者 → 賃上げ計画(給与年平均成長率3%以上+事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上)は加点項目(任意)
  • 過去に交付決定がある事業者 → 賃上げ計画(給与年平均成長率3.5%以上+事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上)は加点項目(任意)

申請スケジュールと流れ

令和8年度の交付申請受付は2026年3月30日から開始されます。
各回の締切は公式サイトにて順次公表されます。交付決定後の補助事業実施期間は約6か月間です。

申請の基本的な流れ:

  1. 公募要領を確認し、制度を理解する
  2. IT導入支援事業者・ITツールを選定する(この段階では契約しない)
  3. GビズIDプライムを取得する(取得に2〜3週間かかる場合あり)
  4. IT導入支援事業者から申請マイページへの招待を受ける
  5. 交付申請を作成・提出する(IT導入支援事業者と共同で作業)
  6. 交付決定後にITツールの契約・導入・支払いを行う
  7. 実績報告を提出する
  8. 補助金交付
  9. 導入後3年間の効果報告

最重要注意点:交付決定前にITツールを契約・発注した場合は補助対象外となります。

申請のポイント

  • 自社のIT課題を明確にする
    審査では「自社の経営課題を理解し、経営改善に向けた具体的な問題意識を持っているか」「導入するITツールの効果と課題がマッチしているか」が見られます。業務プロセスのボトルネックや改善点を事前に整理しておくことが重要です。
  • IT導入支援事業者の選定が重要
    この補助金はIT導入支援事業者との共同事業体として申請するため、パートナー選びが成否を大きく左右します。ITツールの機能だけでなく、導入後のサポート体制や実績も確認しましょう。
  • 加点項目を活用する
    クラウド製品の選定、サイバーセキュリティお助け隊サービスの選定、インボイス制度対応製品の選定、賃上げ計画の策定、「IT戦略ナビwith」の実施、健康経営優良法人の認定、くるみん・えるぼし認定、「成長加速マッチングサービス」の登録、「省力化ナビ」の活用など、複数の加点項目が用意されています。該当するものは漏れなく活用することで採択率を高められます。

こんな企業におすすめです

  • 業務の効率化・自動化のためにITツールを導入したい
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めたい
  • インボイス制度への対応が済んでいない、またはシステムを強化したい
  • クラウド型の会計・人事・販売管理システムを導入したい
  • PC・タブレット・POSレジ等の導入費用を抑えたい(インボイス枠)

最新情報について

デジタル化・AI導入補助金は年度内に複数回の公募が実施されます。公募スケジュールや詳細な要件は公式サイトで随時更新されますので、ご確認ください。