「決算が悪かったから断られた」
「赤字だから仕方ない」
金融機関から融資を断られた際、こうした受け止め方をされる経営者は少なくありません。
しかし、実務の現場で金融機関の判断を見ていると、
“今は難しい”と言われる理由は、数字そのものではないケースが大半です。
本記事では、
金融機関が前向きな検討に入れない会社に共通する考え方・準備不足を整理し、
「では、何が整えば話が進むのか」という視点で解説します。
本記事の対象について
本記事は、以下のような方を主な対象としています。
- 今後の設備投資や事業拡大を見据えている
- 金融機関との関係を中長期で考えたい
- 融資を“最後の手段”ではなく、事業の一部として捉えたい
※「数日以内に資金が必要」「税金・社会保険料の滞納がある状態での資金調達」を想定した内容ではありません。
「今は難しい」は否定ではなく“保留”です
まず理解しておきたいのは、金融機関の「今は難しい」という言葉は、
永久的な否定ではなく、“判断できる材料が揃っていない”という意味であることが多い、という点です。
つまり、
- 条件が整えば再検討できる
- 方向性が見えれば話が進む
という状態でもあります。
では、金融機関はどこで「まだ早い」と判断しているのでしょうか。
共通点① 時間軸が極端に短い
最も多い共通点が、時間軸の短さです。
- 「今月中に必要」
- 「来週までに資金が足りない」
このような相談の仕方では、金融機関はどうしても守りの判断にならざるを得ません。
融資は、本来「事業の将来」を前提に判断されます。
時間軸が短いほど、
- 事業の全体像が見えない
- 一時的な延命に見える
という印象を与えてしまいます。
共通点② 事業の話より“お金の話”が先に来る
金融機関が知りたいのは、
「いくら必要か」よりも先に、
「どんな事業を、どこへ向かって進めようとしているのか」です。
しかし、話が進みにくい会社ほど、
- 借入金額
- 返済期間
- 金利
といった条件の話から始まってしまいます。
この順序が逆になると、金融機関側は「判断の土台がない」状態になります。
共通点③ 資金使途が“とりあえず”になっている
「運転資金です」
「手元資金を厚くしたくて」
こうした説明自体が悪いわけではありません。
問題は、その先の説明が続かないことです。
- なぜ今、運転資金が必要なのか
- どの部分の資金繰りが、どのように改善されるのか
この説明ができない場合、金融機関は融資の効果を描けません。
共通点④ 返済原資が“感覚”で語られている
「売上は伸びています」
「今後は大丈夫だと思います」
こうした言葉だけでは、金融機関は判断ができません。
重要なのは、
- どの売上が
- どのコスト構造で
- どの程度のキャッシュを生むのか
という事業の流れとして説明できるかどうかです。
完璧な数字である必要はありませんが、考え方が整理されているかは見られています。
共通点⑤ 現状整理ができていない
話が進まない会社ほど、
- 決算内容を把握していない
- 借入残高や返済額を即答できない
- 資金繰りの現状が曖昧
といった状態にあります。
これは「経営能力が低い」という話ではなく、金融機関と話すための準備ができていないというだけです。
「今は難しい」から「前向き」に変わる瞬間
逆に、金融機関の反応が変わるのは、次のような状態が整ったときです。
- 事業の方向性が言語化されている
- 資金使途と事業のつながりが説明できる
- 半年〜1年先を見据えた話ができる
この状態になると、金融機関は「検討できる材料が揃った」と判断します。
金融機関対策は“断られないため”のものではありません
金融機関対策というと、
「どうすれば断られないか」という視点になりがちですが、
本質はそこではありません。
- 事業を整理する
- 将来の選択肢を広げる
- 成長投資を可能にする
その結果として、金融機関との関係が前向きになります。
当事務所のスタンスについて
当事務所では、
- 緊急的な資金手当のみを目的とした相談
- 事業整理を行わず、結果だけを求める依頼
については対応しておりません。
一方で、
- 中長期の事業計画を整理したい
- 今後の投資・成長を見据えて金融機関対応を考えたい
といったご相談については、事業の状況に応じて丁寧にサポートしています。
まとめ
金融機関が「今は難しい」と判断する理由は、
決算書の数字そのものではなく、
事業の整理状況と時間軸にあることがほとんどです。
準備が整えば、金融機関の反応は確実に変わってきます。
金融機関対策についてのご相談
事業の方向性や資金計画を整理したうえで、金融機関対策を検討したい場合は、お気軽にご相談ください。
※中長期的な視点での検討が前提となります。
