補助金獲得の鍵!コンサルタント活用の是非と支援料金の相場

はじめに

補助金は、企業が行う新しいチャレンジの大きな助けとなる公的施策です。しかし、源泉が税金であるだけにその仕組みは複雑で、「使ってみたいけれど自分たちの力だけで申請するのはなんだか不安…」「自力で申請してみたけれど、なかなか採択されない…」という方も多く、その解決のために、補助金申請をサポートしてくれるコンサルタントを探す方もいらっしゃるかと思います。
または、「補助金の名称で検索してみたら、補助金コンサルタントの広告がたくさん出てくるのだけれど、本当にこれって信頼してお願いしていいの?」という方もいらっしゃるかと思います。
そのような方に向けて、この記事では、補助金のコンサルタントに支援を依頼することについての是非と、支援料金の相場についてご紹介いたします。
この記事が疑問の解決に繋がり、補助金活用の一助となれば幸いです。

結論:初めての補助金についてはコンサルの支援を受けるとメリットが大きい。支援料金は採択額の10%が目安

まず先に私の結論から申し上げると、

  • 初めて利用する補助金については、コンサルタントの支援を受けて申請することをお勧め。二回目以降については自社単独で申請が行えるようになると良い。
  • 支援料金は補助金の規模や難易度によって変わるため、一律で「補助金支援の相場はこの金額」とは言えないが、一般的には中小企業庁の補助金であれば、着手金10万円、成功報酬は補助金額の10%程度を提示するコンサルタントが多い。しかし金額=品質とは必ずしも言えないため、複数のコンサルタントの無料相談を受け、総合的に判断することをお勧め

以上です。

これで疑問が解決された方はそっとこの画面を閉じていただいて結構です。
この結論の根拠について、もう少しお付き合いいただけるという方は、引き続きお読みいただけると幸いです。

なぜプロのコンサルタントに依頼すべきか?

コンサルタントに支援を依頼するメリットとしては、大きく下記の3つに分けられます。

  1. 専門知識を活用できる
  2. 通常業務と並行して効率的に計画書作成を作成できる
  3. 客観的な目を入れながら新事業の整理をできる

メリット1:専門知識の活用を活用できる

補助金の申請支援を行うコンサルタントは、補助金の申請要件や申請時必要書類、審査の観点などを熟知しており、特に審査において重要となる事業計画書の作成について、多くの支援実績を持っています。
各補助金には「公募要領」という補助金のマニュアルのようなものがあります。公募要領には上記の内容の他、どういった取組は補助金の対象外となるのか、どういった場合に補助金を返還しなければならないのかなど、さまざまなルールが細かく書かれていますが、細かすぎるゆえに、補助金に慣れていない方にとっては非常にわかりづらい内容となっています。
また、このルールは同名の補助金であれば常に同じわけではなく、申請回ごとに少しずつ変更が加えられていきます。

そのような点も踏まえ、コンサルタントは常に最新の公募要領を基に、補助金の利用希望者が望む形で補助金を使えるかといったアドバイスや、審査項目を踏まえた事業計画書の作成支援などを行います。結果、単独で申請を行うよりも、高い確率で採択を受けることができます。

また、補助金は採択(審査員の審査の結果、補助金の獲得権利を得ること)がゴールではなく、補助金の入金がゴールです。しかし、補助金の入金までは、採択発表後にもさまざまな事務手続きを踏まなければなりません。せっかく採択されたのに手続きを誤って補助金を受け取れなかったということがないように、(コンサルタントによりますが)採択後の支援も引き続き受けることが可能です。

メリット2:通常業務と並行して効率的に計画書作成を作成できる

補助金の利用を検討中の事業者様は、もちろん本業がありますので、補助金申請の為に全ての時間を使うわけにはありません。
しかし、補助金は申請締め切りが設けられており、その日までに必要な計画書等を用意し、申請を完了させなければなりません。
その為には事業計画書を作成しなければと思っても、例えばものづくり補助金であれば、作成する事業計画書はWord10枚分。なかなか簡単な話ではありません。また、加点要素もできるだけ多くとりたいとなると、締め切りから逆算して……と、考えることはたくさんあります。

これを全て単独でやろうとすると大変ですが、コンサルタントがいると、いつまでに何をしなければならないのかの時間管理や、必要な書類が間違いなく揃っているかどうかの確認などが一緒に行われます。
また、事業計画書も一人で10枚埋めるのは大変です。市場分析やSWOT分析、競合のこと、補助金を使って行う取り組みの具体的な内容など、さまざまなことについてコンサルタントがヒアリングを行い、それを事業計画書に落とし込んでいくことで、効率的に高品質な事業計画書を作成できます。

くれぐれもご注意いただきたいのは、社労士による代行申請が認められている助成金とは異なり、補助金は代理申請が禁止されており、申請者が自分で申請を行うことが必須となっています。
事務局から問合せがあって補助金のことについて聞かれても、答えられないなんてことになってしまうと大問題です。

忙しい自分に変わって補助金申請を代行してくれる”業者”を探すのではなく、必ず、自身が行う補助金申請をサポートする”コンサルタント”を探すようにしていただければと思います。

メリット3:客観的な目を入れながら新事業の整理をできる

おまけのような話ですが、私個人としては、これがコンサルタントをいれる一番の大きなメリットではないかと考えています。
私は補助金の申請支援において、コンサルタントの一番重要な仕事は「事業者様と国(および審査員)の架け橋になること」だと思っています。
というのも、事業者様がご自身で作成された事業計画書が不採択となってしまった際に、アドバイスをさせていただく機会も度々あるのですが「その道の専門家ではない者にとっては、一読して何を行うのかがわかりづらい」ということが多いのです。
例えば、その道のプロである事業者様にとっては当たり前すぎて説明する必要性も感じていなかったようなことが、国(および審査員)にとってはあたりまえではなく、きちんとスペースをとって説明が必須であったり。
または、社長が頭の中でいろいろな構想を持たれていて、それをその熱意のまま文章にした結果、1ページのほとんどが長い文章となってしまって、どこに何について書かれているのかがわからなかったり。
これらは決して補助金に不慣れだからどうこうというより、1人で計画書を作成した場合には誰にでも起こり得る話だと思います。

そこをコンサルタントが間に入り、客観的に「ここについてもっと知りたい」「つまりこれってどういうことなの?」と掘り下げ、交通整理を行うことで、結果、第三者(国・審査員)に読みやすく理解しやすい事業計画にすることができます。

また、この交通整理の中で、まだ詳細を詰め切れていなかったことが出てくることも多くあります。(わかりやすい例で言えば、「新製品を売る」として「1ついくらで売るのか」「どこで売るのか」「誰が売るのか」「1カ月あたり何個売るのか」「なぜその個数を売れると考えたのか」などです。新製品の作り方や良さはたくさん思い浮かんでも、具体的な数字やそこに至るまでの過程などはあいまいなままだったということは良くあります)
事業計画書を一緒に作成するという一連の流れによって、自分の考えを第三者に理解しやすくすると共に、不足していた部分を改めて考えるきっかけとすることができます。

事業計画書が完成した時に「こんな風に自分の事業や業界のことを考えたことがなかった」と言ってもらえると、とてもうれしく、コンサルタント冥利に尽きるな、と常々思っております。

コンサルタントに頼むメリットのまとめ

このように、いくつかの点でコンサルタントの支援を受けるということは、忙しい事業者様にとっての助けになるかと思います。しかし、毎回かならずコンサルタントの支援を受けなければならないというわけではなく、「公募要領はこういうことが書かれているのか」「このように事業計画書は整理していけばいいのか」「このような流れで補助金の事務手続きは流れていくのか」といった一通りのことをご理解いただいたら、以降はたまにコンサルタントから最新情報を仕入れつつ、申請自体は自社のみで行うということも十分可能かと私は思います。

ご自身の業務量とも相談しながら、何もかもコンサルありきとするのではなく、上手にコンサルタントを活用いただくのが一番かと思います。

コンサルタントに依頼する際の妥当な料金はいくらか?

料金設定にルールはない

補助金申請のコンサルティングは、特定の士業の独占業務というわけではありません。そのため、中小企業診断士や税理士、行政書士の他、特定の業界に特化したコンサルタントなど、さまざまな専門家が支援を行っています。
また、その支援内容や方法もさまざまですので、一律で支援料金はいくらと定められているわけではありません。また、補助金によっても比較的簡単に申請できる補助金から、難易度の高い補助金までさまざまですので、当然補助金によっても支援料金は変わってきます。

一般的に補助金の支援に関する支援料金は、下記に分けられることが多いです。

  1. 着手金
  2. 成功報酬
  3. オプション

着手金

その名の通り、支援に着手するにあたってお支払いいただく費用です。
基本的には、補助金が採択されなかった場合にも返金はされません。

中小企業庁系の補助金(ものづくり補助金、再構築補助金、小規模事業者持続化補助金など)では10万円程度(0円~15万円の間)で提示するコンサルタントが多い印象です。

成功報酬

採択報酬や成功報酬など、コンサルタントによって名称が変わることがありますが、補助金が採択された際にお支払いいただく費用です。

中小企業庁系の補助金ですと、採択金額の10%(7~15%の間)で提示するコンサルタントが多い印象です。
パーセンテージではなく、「この補助金の場合は一律でいくら」と定めている場合も多くあります。
また、下限金額が設けられている場合もあります。

例えば「成功報酬:10%(下限50万円)」と設定がされており、400万円の補助金の計画書が採択された場合、10%の40万円ではなく、下限金額である50万円が成功報酬となります。

成功報酬については、支払いのタイミングがいつとなるかを必ずコンサルタントにご確認ください。

一般的な補助金は、「採択」→「事業の実施(補助金で申請した投資を実行。つまり、発注~支払いの一連の手続きを実行)」→「完了報告」→「最終的な補助金額の確定」→「補助金の入金」という流れで進みます。そのため、「採択発表後●日以内に支払い」という支払い条件となっている場合、その時点では、まだ補助金は振り込まれてはいません。

高額な補助金であれば成功報酬も比例して高くなるため、成功報酬の支払いを複数回に分けて(例えば採択時に半分、補助金入金時に残りの半分など)設定しているコンサルタントもいます。
自社にとって無理なく支払えるスキームになっているかどうか、ご注意いただければと思います。

また、上記のフローで「最終的な補助金額の確定」という工程があるように、補助金額はさまざまな理由で減額となる場合があります。(申請していた計画中に補助金の補助対象外のものが含まれていたなど)
そのため、採択報酬はどの時点での金額を基準に計算されるのかと言うことについても、事前にしっかりご確認いただければと思います。

オプション料金

着手金や成功報酬とは別に、オプションが用意されている場合も多くあります。

たとえば成功報酬の金額を他のコンサルタントよりも安価に設定し、その分、採択以降の手続きに関する支援は、オプション料金として別途設定されている場合もあります。

また、多くの補助金は、他の企業よりも採択されやすくするために、加点項目が設定されています。その加点項目を取るための手続きも、オプション料金で支援するという場合もあります。

補助金の手続きに慣れている事業者様であれば、採択後の手続きについては支援が不要ということもあると思います。基本料金の範囲内ではどんな支援をうけられ、何がオプションとなるかを確認し、自社にあったコンサルタントを選定いただければと思います。

コンサルタントの支援料金のまとめ

コンサルタントの支援料金についてご説明しましたが、最終的には相性が重要かと思います。
公募要領の読み合わせから補助金の入金まですべての工程を一緒にというスタンスのコンサルタントもいれば、計画書の作成部分のみをピンポイントで支援するコンサルタントもいます。
他社の支援で採択までは進めたけれど、その先の手続きが思いのほか難しかったという方に向けて、採択後の事務手続き部分を支援するコンサルタントもいます。
どのコンサルタントが良い、悪いという話ではありませんので、値段だけで決めるのではなく、複数のコンサルタントの無料相談を受け(多くのコンサルタントは、相談段階では無料です)、自社にとって必要な支援をきちんと行ってくれるコンサルタントを見つけていただければと思います。

さいごに

補助金の申請において、特に事業計画書の作成は、採択に大きく影響する重要な要素です。コンサルタントの支援を適切に受けることで、企業は専門知識と経験を最大限に活用し、効果的に高品質な計画書を作成することができます。
補助金は特定の誰かが設けるためのずるい仕組みではなく、1つ1つの企業がより大きく成長し、国内の経済を活性化させるための重要な支援施策です。知っていて(タイミングが合わない等の理由で)使わないのは良いのですが、知らずに(または不安で)使わないというのは、企業だけではなく国にとっても大きな損失です。
新しい投資を行いたいと思った際には、不足部分をコンサルタントで上手に埋めながら、積極的に活用いただければと思います。

中小企業診断士+2児の母。 もともとはIT系を得意としていたはずが、補助金の申請支援のご希望が多いため、最近はすっかり補助金支援専門家になりつつありますが、どんなご相談でも歓迎です。1件1件について常により良い結果を目指し、全力で事業者様をご支援しております。