PMI実施手順――事業承継・M&A後の「100日プラン」と成功のポイント

この記事のポイント

  • 中小企業庁の「PMIハンドブック」では、最初の100日間に集中する「100日プラン」が推奨されている
  • 成長型か持続型か、自社に合った進め方を選ぶことが成功のカギ
  • チェックリストを活用し、着実に進めることで統合効果を最大化できる

PMI実施手順の全体像

PMIは、承継後の経営統合を体系的に進める手法として、以下のフェーズで構成されます。

  1. 準備フェーズ(プレPMI)
  2. 統合初期フェーズ(Day1~Day100:100日プラン)
  3. 中期フェーズ(1年以内)
  4. 定着フェーズ(1〜数年後)

フェーズごとの進め方

1. 準備フェーズ(プレPMI)

  • 方針を関係者間で擦り合わせる
  • 承継・M&Aの目的を明確化(「なぜ引き継ぐのか」「どう成長・維持させるのか」)
  • 課題を仮説ベースで整理(人材・組織・文化・財務など)

2. 統合初期フェーズ(Day1~Day100:100日プラン)

最初の100日間は、承継後の組織・文化・業務体制を固める期間です。

  • 新しい経営方針を策定し、全社で共有(★最優先)
  • 現状把握と課題分析(人材・組織・文化・財務・業務)
  • 意思決定プロセスの見直しと権限明確化
  • 従業員・取引先との信頼関係構築
  • 文化のすり合わせ(価値観・働き方・ルール)
  • キープレイヤーの発掘・育成
  • 業務・プロセス統合、重複作業の整理
  • KPI設定による成果の見える化

承継の種類によって、強調する項目は変わります。

  • M&A承継:成長施策や市場開拓の早期成果を意識
  • 親族承継・従業員承継:従業員への安心感と文化の継承を重視

3. 中期フェーズ(Day100以降~1年)

  • 顧客・取引先との信頼強化
  • 100日プランをもとに統合を深める
  • IT・業務プロセスの本格統合
  • 人事・評価制度の整備
  • 新経営体制の定着

4. 定着フェーズ(1〜数年後)

  • 統合後の仕組みを日常業務に組み込む
  • 成長施策の本格展開(新規市場、新サービス)
  • 改善活動を継続し、組織文化を定着させる

成長型と持続型の進め方

  • 成長型:売上拡大・新市場開拓など攻めの施策を重視。100日以内に成果を見せる。
  • 持続型/両立型:現状維持・安定を優先し、文化や制度の統合をじっくり進める。

承継形態によって傾向が変わります。親族承継や従業員承継では「持続型」が多く、M&A承継では「成長型」を選ぶケースが目立ちます。きます。

PMIチェックリスト

□文化面の摩擦に備えているか
□PMI推進責任者を任命しているか
□社内外の関係者に説明計画を立てているか
□キープレイヤーの役割を整理したか
□業務プロセスを見える化できているか
□KPIを設定し進捗を管理できているか

まとめ

PMIは、事業承継・M&A後に会社を安定的に運営し、成長につなげるための重要なプロセスです。
特に最初の100日間で方針の明確化と信頼構築を進めることが、その後の成功を大きく左右します。
チェックリストを活用し、段階的に統合を進めることで、事業承継後の会社運営をスムーズに行えるでしょう。

中小企業診断士。 主に中小企業向けの国の施策を積極的に活用いただくことに尽力しています。。国の施策はとにかく複雑なものが多いですが、1件1件について常により良い結果を目指し、わかりやすくをモットーに、全力で事業者様をご支援しております。