PMI成功のカギ――リーダーシップとコミュニケーションの力

この記事のポイント

  • PMI成功には経営者・後継者のリーダーシップが不可欠
  • 社員の不安を取り除く「対話」が組織を安定させる
  • 専門家の助力を得ることも有効な選択肢
  • 中小企業でも実践できるコミュニケーションの工夫を紹介

PMIで最も問われるのは「経営者の姿勢」

PMI(Post Merger Integration=経営統合)では、業務整理や財務把握といった実務も重要ですが、それ以上に大切なのが経営者・後継者のリーダーシップです。
統合の混乱期には社員が不安を抱えやすく、「この会社で働き続けてよいのか」と迷う瞬間もあります。そのときに社員をつなぎ止め、組織を一つにまとめるのは、経営者の言葉と態度です。

リーダーシップが発揮される3つの場面

1. 経営方針を示すとき

承継直後は「これから会社はどうなるのか」という問いに明確な答えを求められます。
ここで経営者が方針を示せないと、不安が広がり、社員のモチベーションが下がります。完璧な戦略を示す必要はありませんが、「変えるもの」と「変えないもの」を明確に伝えることが重要です。

2. 社員と向き合うとき

ある中小企業では、後継者が全社員と一対一で10分程度の面談を行いました。
内容は「仕事で困っていることはないか」「この会社の良いところはどこか」といったシンプルな質問でしたが、社員は「自分の声を聞いてくれている」と実感し、承継後も安心して働けるようになりました。

👉 コミュニケーションの基本は、話すより聞くことにあるといえます。

3. 変化を進めるとき

PMIは現状を守るだけでなく、新しい仕組みを導入する場面も多いです。
その際に「なぜ変えるのか」「どんなメリットがあるのか」をしっかり伝えなければ、現場はついてきません。説明を省いて一方的に改革を進めると、抵抗や離職につながることもあります。

中小企業でも実践できるコミュニケーションの工夫

  • 定例ミーティングで現状を共有:小さくても情報発信の場を設ける
  • 社内掲示やチャットを活用:口頭での伝達だけに頼らない
  • 雑談の機会を大切に:人間関係の安心感がPMIを支える

これらは大企業のように大掛かりな仕組みではなく、日常のちょっとした工夫で実現できます。

まとめ

  • PMI成功の土台はリーダーシップとコミュニケーションにある
  • 方針を明示し、社員の声を聞き、不安を取り除く姿勢が大切
  • 中小企業だからこそ、経営者の言葉が組織に直結する

さらに、承継直後は経営者自身も不安や迷いを抱えるものです。その際には、PMIに精通した専門家の助力を得ることも有効です。外部の視点から客観的に統合プロセスを整理してもらうことで、リーダーシップとコミュニケーションに一層の効果が生まれます。

中小企業診断士。 主に中小企業向けの国の施策を積極的に活用いただくことに尽力しています。。国の施策はとにかく複雑なものが多いですが、1件1件について常により良い結果を目指し、わかりやすくをモットーに、全力で事業者様をご支援しております。