躍進的な事業推進のための設備投資支援事業第9回募集要項が公開されました

2025年4月10日に、東京都に拠点を持つ企業が、自社の競争力強化や生産性向上のための機械設備投資・システム構築に活用できる、躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の第9回(令和7年度第1回)の募集要項が公開されました。
本記事では、この東京都の助成金の昨年までとの変更点についてわかりやすくお伝えします。

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業とは?

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業は、東京都に本社または支社を持つ企業が、自社の「製品・サービスの質的向上」による競争力強化や「生産能力の拡大」のための生産性向上を進める際に必要となる機械設備・システム投資に活用できる助成金です。(一般的に助成金は厚生労働省のものを思い浮かべる方も多いかと思いますが、東京都はいわゆる補助金的な事業についても「助成金」としています)

この助成金はさすが東京都というべき高額な助成金額が特徴で、昨年までは上限1億円だったところが2025年は2億円まで引き上げられています。
制度の概要については、下記ページをご参照ください。

↑上記ページで「ご相談はお早めに」としていますが、すみません、現時点ですでに複数ご支援が進行中でキャパオーバーしています。どうしてもという場合には遠慮なくお問い合わせください。

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業第9回のスケジュール

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業は、これまで毎年春と秋に1回ずつ募集が行われています。国の補助金でも最近は面接審査が増えていますが、東京都の助成金は昔から書類審査と面接審査がセットで行われているため、計画書の策定には社長や経営層の積極的な関与が必要です。
(数年前の説明会では、面接で質問に答えられずに不採択となる会社が半数程度とお聞きしました)

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業第9回での変更点

1.申請区分に「V.アップグレード促進」が追加

新たに補助上限金額2億円、補助率3/4と破格の条件の申請区分が追加されました。

この区分は、競争力強化及び生産性向上を実現し、地域経済の中心となるべく成長するために必要となる機械設備を新たに導入する事業であり、設備投資後、従業員一人当たりの付加価値額(=「労働生産性」)が年率3%以上向上する計画である事業である場合に対象となります。

この条件だけ見ると要件を満たすのは難しくないようにも思えますが、後述するゼロエミ要件と賃上げ要件の両方を満たすと共に、パートナーシップ構築宣言と、実施事業に関連する取引先から「生産(増産)要請に関する証明書」を受領する必要があります。

ゼロエミ要件

「ゼロエミッション概要書」を作成して企業全体で省エネルギー対策(努力目標として省エネルギー率5%以上を達成)に取り組む必要があります。また、申請区分I以外の場合には、申請時に省エネ診断または省エネ最適化診断の診断報告書の提出が必要です。

賃上げ要件

「賃金引上げ計画書」を作成し、補助事業終了後の12カ月で全従業員の給与支給総額について2.0%以上の向上と、事業実施場所の事業場内最低賃金を、実施場所都道府県の最低賃金+30円以上の水準にする必要があります。

2.申請区分「I.競争力強化」に「働き方改革推進」枠が追加

下記の1・2いずれにも当てはまる場合に「働き方改革推進」枠での申請が可能です。2024年の「設備投資緊急支援事業」がこちらに吸収されたのかと思います。

  1. 働き方改革関連法の時間外労働の上限規制において、令和6年4月から規制対象の下記(1)~(3)のいずれかの事業・業務を営んでいること
    (1)工作物の建設の事業
    (2)自動車運転の業務
    (3)医業に従事する医師
  2. 働き方改革関連法の時間外労働の上限規制適用猶予期間(令和2年4月から令和6年3月)に上記(1)から(3)の業務を主として従事する従業員を雇用しており、この期間の時間外労働‧休日労働に関する協定届(36協定届)が提出できること

3.申請区分「I.競争力強化」で小規模事業者が賃上げ促進要件を満たす場合、補助率が4/5に向上

小規模事業者が上記の賃上げ要件を満たす場合、補助率が4/5に向上します。

さいごに

当方が三重県に活動拠点を移したこともあり、あまり東京都の助成金情報を積極的に発信はしていませんが、東京都は他にもいろいろな助成金が実施されており、うらやましいと日々感じています。
東京に本社はなくとも東京に支店がある場合や、東京に本社があり関東に工場を持つ企業も利用できますので、対象となる事業者様は、ぜひ公式HPもご確認ください。
また、東京都の助成金情報はニーズがあるのかわかりかねています。(ありがたいことに、最近お問い合わせいただくのも三重県の企業様が増えてまいりました)もし東京の方もコラムを読んでくださっており、東京都の助成金情報をもっと発信してほしいというご希望がございましたら、問い合わせフォームからメッセージのみでもいただけますとうれしいです。

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