インバウンド受入環境整備高度化事業の公募が開始しました(締切:2025年5月30日)

2025年4月25日に、インバウンド受入環境整備高度化事業の公募が開始しました。
この補助金は、訪日外国人旅行者の周遊の促進・消費の拡大を図るため、ICT等を活用した観光地の受入環境整備を支援するものです。
本記事では、対象となる事業者がスムーズな申請に繋げられるようにするために、補助金の制度についてわかりやすく説明いたします。

インバウンド受入環境整備高度化事業の概要

インバウンド受入環境整備高度化事業は、訪日外国人旅行者の周遊の促進・消費の拡大を図るため、訪日外国人旅行者の来訪の増加が見込まれる市区町村に係る観光地(以下「特定観光地」)において、公共交通機関の駅等から個々のスポットに至るまでの散策エリアにおける「まちあるき」や広域的な周遊に係る環境整備を一体的に進める事業を実施し、ストレスフリーで快適に旅行を満喫できる環境の整備を図るために要する経費を支援する補助金です。

インバウンド受入環境整備高度化事業のイメージ
出所:観光庁

インバウンド受入環境整備高度化事業のスケジュール

インバウンド受入環境整備高度化事業の申請締め切りは、2025年5月30日(金)17時です。
しかし、予算が無くなり次第、公募受付を終了するとしていますので、手続きは早めに行うことをお勧めします。

手続きの流れは下記のとおりです。補助金の対象となるのは、交付決定後に発生した費用(契約・発注~支払の一連の取組)のみが対象となります。事前に契約・発注したものは補助対象とはなりませんのでご注意ください。

なお、やむを得ない事情により、本事業を令和7年度内に完了することが困難な場合は、2026年1月16日までに地方運輸局等に事前に相談するものとしています。

インバウンド受入環境整備高度化事業の申請対象者(高度化計画策定者)

インバウンド受入環境整備高度化事業の申請を行えるのは、下記のとおりで、単独もしくは共同で申請が可能です。

市区町村以外の者が高度化計画を策定しようとするときは、あらかじめ当該特定観光地に係る市区町村の同意を得て地方運輸局等に提出する必要があります。

補助対象者概要
市区町村当該特定観光地に係る市区町村
都道府県当該特定観光地において事業を行う都道府県
観光地域づくり法人(DMO)当該特定観光地において事業を行う観光地域づくり法人(DMO)又はその候補として観光庁長官の登録を受けた法人
その他の持続可能な観光の促進に向けた受入環境整備事業を実施する者当該特定観光地において事業を行う民間事業者

インバウンド受入環境整備高度化事業の補助対象事業

補助の対象となる事業は、下記のとおりで、

  1. 観光に関する国の基本的な政策に適合するものと認められること。
  2. 高度化計画の対象区域における訪日外国人旅行者の周遊の促進及び消費の拡大に相当程度寄与するものであると認められること。
  3. 円滑かつ確実に実施されることが見込まれるものであること。

を満たす必要があります。

補助対象事業概要
A.賑わい環境の創出1)ナイトタイムエコノミーの環境整備
2)イベント開催等により賑わい拠点となる屋外広場の整備
3)廃屋撤去
B.新たなニーズへの対応・新技術の活用4)ワーケーション環境の整備
5)ICT を活用したゴミ箱の整備
6)多様な移動手段の整備
7)飲食店、観光案内所等を対象としたロボット等の導入
C.ストレスフリー・快適な旅行環境の整備8)多言語案内の整備
9)観光スポット等の掲示物等の多言語化整備
10)無料公衆無線 LAN 環境の整備
11)飲食店、小売店等も含めた地域における多言語対応、先進的決済環境の整備
12)トイレの高機能化及び洋式便器の整備
13)手ぶら観光カウンターの機能向上
D.ユニバーサル対応14)段差の解消
15)子供連れ環境の整備
16)近距離移動支援モビリティの整備
E.拠点機能の整備・改良17)外国人観光案内所の整備・改良
18)観光スポット情報・交流施設の整備・改良
19)EV 急速充電器の整備
20)既存おもてなし観光施設(トイレ施設を含む)における魅力度向上のための整備

インバウンド受入環境整備高度化事業の補助対象事業者

高度化計画に記載されたインバウンド受入環境整備高度化事業を実施する者が補助対象事業者となります。必ずしも計画策定者である必要はありません。

インバウンド受入環境整備高度化事業の補助金額・補助率

インバウンド受入環境整備高度化事業の補助率及び補助上限額は下記のとおりです。

補助率補助上限額
1/2なし

交付要綱に記載の特定条件を満たす場合は、補助率が2/3に引き上げられます。

インバウンド受入環境整備高度化事業の補助対象経費

インバウンド受入環境整備高度化事業で補助対象となるのは、下記全てを満たす経費です。

A.使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
B.補助金交付決定後に、契約・発注により発生した経費
C.証拠書類・見積書等によって契約・支払金額が確認できる経費

補助対象事業基本整備項目
1)ナイトタイムエコノミーの環境整備【基本整備項目】
・照明器具
・電飾
・据付型プロジェクター
・上記の設置に係る費用(本工事費、附帯工事費、事務費、システム開発費用)
【追加整備項目】
・無線LAN環境の整備
・案内標識
・掲示物
・ホームページ等
・セキュリティ関係機器、システムの整備
・その他、ライトアップに必要となる費用
2)イベント開催等により賑わい拠点となる屋外広場の整備・屋外広場整備
・附帯工事費
・事務費(工事等に要する設計費及び工事管理費)
・ホームページ等
・その他、屋外広場の機能向上及び利用促進に必要となる費用
3)廃屋撤去・本工事費
・附帯工事費
・撤去に係る事前調査費
・事務費(工事等に要する設計費及び工事管理費)
・その他廃屋撤去に要する費用
4)ワーケーション環境の整備・施設整備
・備品整備
・事務費(工事等に要する設計費及び工事管理費)
・ホームページ等
・多言語対応及び決済環境の整備
・その他、明確なワーケーション環境の整備に必要となる費用
5)ICT を活用したゴミ箱の整備・本工事費
・附帯工事費
・事務費(工事等に要する設計費及び工事管理費)
・コンテンツ作成
・システム開発
・LAN環境の整備
・その他ICTを活用したゴミ箱の整備に附随するもの
6)多様な移動手段の整備・電動キックボード・電動アシスト自転車等の購入
・受付施設・車体保管施設の整備
・充電設備等の導入経費
・貸出・返却システムの導入経費
・案内標識の設置
・その他多様な移動手段の整備に必要となる費用
7)飲食店、観光案内所等を対象としたロボット等の導入・ロボット等やその操作・管理のための端末の購入費
・設置工事費
・無線LAN環境の整備
・電気設備工事費
・その他ロボット等の管理・稼働に必須なもの
8)多言語案内の整備・本工事費
・附帯工事費
・事務費(工事等に要する設計費及び工事管理費)
・コンテンツ作成
・AIチャットBot
・LAN環境の整備
・その他多言語観光案内標識の整備に附随する整備に必要となる費用
9)観光スポット等の掲示物等の多言語化整備・本工事費
・附帯工事費
・事務費(工事等に要する設計費及び工事管理費)
・コンテンツ作成
・ホームページ等
・LAN環境の整備
・その他掲示物等の多言語化整備に附随する整備に必要となる費用
10)無料公衆無線 LAN 環境の整備・公衆無線LAN機器
・鉄塔(鉄柱・ポール等公衆無線LAN機器本体の設置場所として必要なもの)
・受電設備(受電盤・公衆無線LAN機器本体への送電線)
・送受信機(ルーター・ONU・スイッチ)
・ケーブル(最寄りの電柱の接続端子函から公衆無線LAN機器本体又は、送受信機への光ケーブル・
LANケーブル)
・収容板、収容箱、取付用金具、ケーブル用配管、ケーブル用ラック(補助対象設備の保護を目的とし
たもの)
・公衆無線LAN機器等の設定調整費
・認証システム(既存システムの設定調整費を含む)
・蓄電池(公衆無線LAN機器の予備電源としての蓄電池)
・詳細な電波調査
11)飲食店、小売店等も含めた地域における多言語対応、先進的決済環境の整備・多言語対応
・先進的な決済環境の整備
・店内表示及びメニューの多言語化・オンライン化対応
・ホームページ
・その他宗教や文化により食事等の生活習慣に配慮が必要となる訪日外国人を含む旅行者の受入のために必要となる機材の購入・設置に要する費用
12)トイレの高機能化及び洋式便器の整備【基本整備項目】
・洋式便器の整備(新設、増設、交換、和式便器の洋式化)
・温水洗浄便座の整備(新設、増設、交換)
・洗面器の整備(自動水栓化等)
・清潔機能等向上整備
【追加整備項目】
・小便器(自動水栓化等)
・ハンドドライヤー
・化粧鏡
・LED照明
・室内空調(換気、冷暖房)設備
・外装工事(屋根部分は除く)
・窓
・入口ドア
・案内標識
・案内表示
・多様な身体状況や家族構成に対応するための設備
・掃除流し
・その他、明確な機能向上を伴う整備
13)手ぶら観光カウンターの機能向上・先進機能の整備
・LAN環境の整備
・先進的な決済環境の整備
・多言語での情報発信に関わる整備・改良
・手ぶら観光カウンターの整備・改良
・手ぶら観光サービスの受付業務を行うための設備及び受領した荷物の一時保管のために使用する設備
・その他手ぶら観光カウンターの整備・機能向上に要する費用
14)段差の解消・本工事費
・附帯工事費
・事務費(工事等に要する設計費及び工事管理費)
15)子供連れ環境の整備【基本整備項目】
・おむつ交換台の新設・増設
・授乳室(パーテーション・カーテン・授乳用椅子等)の新設・増設
・ベビーベッドの新設・増設
・ベビーキープの新設・増設
・子供用着替え台の新設・増設
・調乳用温水器の新設・増設
【追加整備項目】
・ベビーカー置場
・シンク
・電子レンジ
・荷物置き
・ゴミ箱(おむつ用を含む。)
・キッズスペース
・遊具(壁面等に固定されているものに限る。)
・案内標識
・その他、子供連れ環境向上を伴う整備
16)近距離移動支援モビリティの整備・電動車椅子の購入(二人乗り以上の電動カート等も含む)
・受付施設・車体保管施設の整備
・充電設備等の導入経費
・貸出・返却システムの導入経費
・案内標識の設置
・その他近距離移動支援モビリティの整備に必要となる費用
17)外国人観光案内所の整備・改良・先進機能の整備
・LAN環境の整備
・多言語での情報発信に関わる整備・改良
・外国人観光案内所の整備・改良
・免税対応環境整備
・地域におけるコト消費促進のための環境整備
・その他観光案内所の接遇機能向上や、案内業務機能向上、体験・交流機会の提供を目的に導入する設備の設置に要する費用
18)観光スポット情報・交流施設の整備・改良・先進機能の整備
・LAN環境の整備
・多言語での情報発信に関わる整備・改良
・観光スポット情報・交流施設の整備・改良
・その他観光スポット情報・交流施設の訪日外国人旅行者を含む不特定多数の観光客への情報提供、交流機会提供又は利便性向上を目的に導入する設備の設置に要する費用
19)EV 急速充電器の整備・本工事費
・附帯工事費
・事務費(工事等に要する設計費及び工事管理費)
・案内標識
20)既存おもてなし観光施設(トイレ施設を含む)における魅力度向上のための整備・先進機能の整備
・LAN環境の整備
・多言語での情報発信に関わる整備・改良
・既存おもてなし観光施設の整備・改良
・その他、明確に既存おもてなし観光施設の機能向上及び周遊促進、消費拡大に必要となる費用

インバウンド受入環境整備高度化事業の申請に必要な書類等

インバウンド受入環境整備高度化事業の申請に必要な書類は、下記のとおりです。
なお、提出前に必ず提出先に事前相談を行う必要があります。

書類名概要
高度化計画指定する様式を用いて作成したもの
計画概要指定する様式を用いて作成したもの
要望書指定する様式を用いて作成したもの
設計図、図面、地図等
補助対象経費の算出基礎となる見積書などの資料・複数の事業者からの見積書を提出
・補助対象の概要が分かる資料(商品パンフレット、カタログ等)を提出
・複数の事業者からの見積書を用意することが難しい場合は、客観的に経費が妥当であると認められる資料を提出(通販サイトの単なる HP 等は不可)
地方公共団体等の補助(予定)額等を確認できる資料等・経費の一部に地方公共団体等からの補助金を見込んでいる場合は、その交付決定書等を提出
・地方公共団体が事業主体の場合は、その予算書(案)を提出
その他計画を審査する上で参考となる書類・周辺散策用のパンフレット・HP 等 ※整備箇所の記載があるもの
・手ぶら観光カウンターを整備する場合、「手ぶら観光」共通ロゴマーク使用承認書又は誓約書
・観光スポット内を整備する場合、口コミサイト等による評価(順位等)が分かる HP の写し等
・外国人観光案内所を整備する場合、外国人観光案内所認定申請の受付通知メール
受入環境整備の必要性が特に認められる市区町村であることを証明する資料事業予定箇所が「観光振興事業費補助金交付要領別表」で定める市区町村以外の場合に、事業予定箇所が「観光振興事業費補助金交付要領Ⅰ.共通事項2.定義」に規定する市区町村に該当することを証明する資料を提出

さいごに

インバウンド客ばかりが優遇されているかのように見えてもしまう補助金ですが、日本への観光需要が高まる中、外需の獲得は経済活性化のためには重要でもありますし、また、海外客が利用しやすい環境は自然と国内観光客にとっても利便性の高い環境作りに繋がっていくものでもあるかと思います。

誰もが円滑に旅行が行えるようにすることで、地域の活性化に役立てていただければと思います。

中小企業診断士。 補助金の申請支援や融資に関する相談など、中小企業のお金に関するお悩みの解決に尽力しています。国の施策はとにかく複雑なものが多いですが、1件1件について常により良い結果を目指し、わかりやすくをモットーに、全力で事業者様をご支援しております。